内容説明
ジョンはフランス史を教える英国人の歴史学者。空虚な人生に絶望していた彼は、旅先のフランスで自分と瓜ふたつの男ジャン・ドゥ・ギに出会う。相手に引っ張られるままに飲んだ翌朝、ジョンが目覚めるとジャンの姿はなく、車や持ち物のすべてが消えていた。呆然とするジョンは、彼を主人と信じて疑わない運転手に促されるまま、ジャンの家に連れていかれる。ジャンは伯爵だが所有するガラス工場は経営が危うく、家族間はぎくしゃくしていた。手探りでジャンになりすますジョンだったが、事態は思わぬ方向に……。名手による予測不能なサスペンス。/解説=杉江松恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
85
「名作ミステリ新訳プロジェクト」による1冊。ゴシック風な雰囲気と高まっていくサスペンス要素、結末を読者に委ねるようなほろ苦い余韻が実にデュ・モーリアらしい物語。退屈な人生に絶望していた英国人のジョン。彼は旅先のフランスで自分に瓜二つのジャンに出会う。すっかり意気投合して飲み明かした2人だが翌朝ジャンは消え、ジョンは彼を自分の主人だと勘違いした運転手にジャン伯爵の城へ連れて行かれることになる。疑惑や不信感だらけの家族の歪みが産み出す不穏な空気。なりすました男が迎える衝撃の結末とは?全く予測不能なストーリー。2025/03/01
さつき
63
偶然出会ったジョンとジャンは瓜二つ。生まれた国も境遇も違う二人が入れ替わっても家族がわからないなんてあるのかな。たとえ顔がそっくりだったとしても髪型が違ったら、すぐわかりそうなものだけど。ジョンがあまりにもお人好しで、アクの強いジャンに良いようにされて気の毒で仕方なかったです。2025/06/30
キムチ
62
「レベッカ」しか読んだ事のない作家。20Cc中盤を舞台にした予測不可能なサスペンスと謳っているが、設定自体に曖昧感が大きく、楽しめない。変人と言われる英国人学者、荒れた心で旅した仏で地震とうり二つの貴族の男と入れ替わる。言葉遣いで上手く行くわけないじゃんと考えたり、女だらけのブルジョワ一族の身内が気づかないのは胡散臭かったり、気持ちを入れ替えガラス工場経営折衝の乗り出す筋や会話が臭くて‥。妊娠出産のごたつきやマリー・ノエルの心のさざ波だけはそこそこ楽しめる2025/06/09
くさてる
34
旅先のフランスで自分そっくりの男と出会った主人公が巻き込まれていくサスペンス。とにかく文章が馥郁として美しく、レベルが違うな、という感じ。すこしずつ明らかになっていく主人公の状況と、スリル溢れる展開で厭な汗をかきました。正直言って、ラストは「それでいいの?」と思ったけれど、きっと、それでいいんでしょう。さすがの読み応えでした。2025/11/12
Kotaro Nagai
30
長編第12作、1957年刊行。主人公の英国人ジョンはフランスで自分とそっくりの人物と出会う。その人物は伯爵を名乗る貴族出身で無理矢理入れ替わることになってしまう。こう書くとサスペンスものでは使い古されたよくある設定だが、人物の造形と心理描写が巧みなせいか飽きさせない。少しずつジョンは伯爵家の複雑な家族事情と経済を知っていく。最終章でタイトルの意味がわかる。普通の作家なら力技でハッピーエンドにするかもしれないが、そうはならないところがデュ・モーリアらしい。「それでいいのかい、ジョン?」と言いたくなる。2025/02/17
-
- 電子書籍
- 花電車の街で 双葉文庫
-
- 電子書籍
- 腹部疾患画像アトラス - 典型例から応…




