ちくま新書<br> 神戸 ――戦災と震災

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ちくま新書
神戸 ――戦災と震災

  • 著者名:村上しほり【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2024/12発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076618

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内容説明

1868年の神戸港開港後、1889年の市制施行で「神戸市」が成立する。以降、神戸というまちは、1938年の阪神大水害、1945年の神戸大空襲、1995年の阪神・淡路大震災と、災害や戦争の影響を大きく受けながら発展していく。本書は、こうした危機からの復興を軸に、明治期から現代までの都市史を描く。貴重な図版を多数収録した、神戸都市史の決定版である。

目次

はじめに 神戸というまちの魅力/第1部 近代/第1章 開港による都市形成/1 兵庫県の成り立ちと旧五国/旧五国と神戸(摂津)/2 神戸開港の前史──兵庫津のはじまり/近世の兵庫津/3 近世から近代へ──神戸港の開港/神戸港の誕生/4 開港に伴う都市形成/神戸外国人居留地の造成/神戸外国人居留地計画図/居留地の下水道布設とコレラの流行/雑居地の形成/5 神戸市域の成立と拡張/第2章 近代都市計画と水害の克服/1 地形とのつきあい方──河川改修の必要性/生田川の付け替えとフラワーロード/湊川の付け替えと新開地本通り/2 近代都市計画事業によるまちづくり・みちづくり/旧都市計画法による神戸の都市計画/神戸における鉄道敷設と街路事業/土地区画整理事業のはじまり/3 阪神大水害による被害と復興/阪神大水害と河川流域の被害/阪神大水害からの復旧・復興/湊川流域の氾濫と痕跡/戦後の水害と都市小河川改修事業の創設/第2部 1945~1995/第3章 戦時下神戸の市民生活と被災/1 防空啓発と市民の防空活動/開戦と言論統制下の地方紙/『神戸市公報』から『神戸市民時報』へ/『神戸市民時報』にみる防空のプロパガンダ/2 配給の滞りと食糧増産・農園化奨励/『神戸市民時報』にみる空閑地利用菜園/公有地の無断使用への注意/戦時下の戦災跡地利用と土地所有者の「協力」/戦後も続いた戦災跡地農園の終わり/3 戦争末期の都市疎開と神戸大空襲/都市疎開のはじまり/神戸市内の建物疎開事業/神戸大空襲の被害状況/第4章 闇市の発生と展開/1 走り出したそれぞれの「復興」/戦後の住宅難と都会地転入抑制/戦時下・戦後の移動と帰れない人びと/不作と配給統制の混迷による闇取引の発生/2 焼け跡の神戸に生まれた闇市/神戸の闇市と戦前三宮の場所性/大闇市「三宮自由市場」の生成と変容/神戸の闇市における経験/3 闇市からマーケット、商店街へ/中心市街地に定着した新興商業集積/拠りどころとしての戦時下の経験/鉄道高架下の商店街と料飲規制/元町高架通商店街の存続と業種/第5章 占領による場所性の喪失と発生/1 広域な連合国軍の駐留/占領のはじまりと神戸ベースの位置づけ/接収された土地・建物/“KOBE”の圏域と行政区域とのずれ/2 「接収」による生活環境の収奪/二つのキャンプの設置と経緯/キャンプ地返還と接収解除地整備事業/「接収」による場所性の変化と記録のつなぎ方/「進駐軍」と市民生活/3 旧神戸経済大学の接収と「六甲ハイツ」/占領軍家族住宅「六甲ハイツ」の立地選定/六甲ハイツの施設配置と建築の特徴/六甲ハイツの接収解除と神戸大学の統合/第6章 終わらない戦災復興事業/1 神戸市における復興構想と都市計画/描かれた都市空間の理想と現実/神戸市戦災復興基本計画の策定過程/戦災復興事業の見直しによる縮小/神戸市の戦災復興施策の特徴/2 戦災復興事業から都市改造事業へ/神戸国際港都建設法ができるまで/戦災復興事業の収束と土地区画整理の展開/第7章 伸びゆく神戸市の都市整備/1 都市改造事業の生みだした風景/戦災復興から都市改造へ/戦後神戸の都心形成/不燃防災建築物の建設促進/街路整備から「花と緑と彫刻」へ/2 「山、海へ行く」の都市開発/神戸港の築港から海面埋立てへ/山麓開発による団地造成/海上文化都市の誕生と「ポートピア81」/第3部 1995~2025/第8章 阪神・淡路大震災と「復興」/1 震災の被害と復興/阪神・淡路大震災の被害/応急仮設住宅の設置/人びとの暮らしと復興/2 震災前後の連続/断絶/震災前の都市再開発/インナーシティエリアと震災/引き継がれた都市整備/震災復興再開発事業による復興/3 震災の記憶・記録/震災の記憶を伝える活動/触れづらい経験と時の経過/公共空間に託された出来事の記念/記録の役割と高まる存在感/第9章 新たな「神戸」へ/1 まちの更新と魅力向上/都心・三宮の再整備/暮らしの場を刷新し、守る/2 自然とともにある人間らしいまち/震災20年と「BE KOBE」/ニュータウンの再整備/海、山とともに生きる/3 「神戸」の記録をつなぐ取り組み/神戸市の収集する「資料」/後世に残すべき公文書の整理・保存/神戸市文書館から歴史公文書館へ/おわりに 「神戸」を語るのは誰か/参考文献/図版出典/年表/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

57
1995年、あの朝、地震の後の衝撃は今でもありありと思い出せる。本書は神戸の歴史、開国から現在までを扱った一冊。『神戸』という題名ながら著者の専門がそちらにあるためか、主に復興や都市計画が記述の中心となっている。個人的には京阪神モダニズムとか文化的な物も読みたかったけど。ただ内容を絞ったせいか、そちらは実に微に入り細に入っている。特に戦後の模様、闇市がどのように都市計画に取り入れられていったか。とか神戸の進駐軍の様子などは実に詳しい。読みたかったのとはちょっと違ったけど、予想外のものが面白く読めました。2025/07/17

Book & Travel

28
神戸は小学生の頃から大学卒業まで暮らした町。その神戸が今年、阪神・淡路大震災から30年、神戸大空襲の戦災から80年を迎える。戦前の阪神大水害を含め、三度の壊滅的な被害からの復興を中心に、町の近現代史を詳しく著した一冊。著者はアーキビストで神戸の都市史の専門家のようで、内容はかなり詳しい。専門的な所は流し読みになったが、戦後点在した闇市から高架下商店街や三宮センター街への変遷、震災後の町の変化など、知りたかった内容も多く、興味深く読んだ。数年に一度帰る度に見る町の変化を、線で辿ることが出来た様で良かった。2025/01/28

アメヲトコ

17
2024年12月刊。帯には神戸の「都市史の決定版」とありますが、「都市計画史の」決定版と言った方が正確かもしれません。近現代の行政による都市計画事業については丁寧に説明されていますが、神戸の生業や産業、都市文化、関西や日本の中での都市神戸の位置づけなどについてはほぼ言及がないので、そのあたりを期待して読むと当てが外れるかも。衰退著しい神戸市の現状に対し、「株式会社神戸市」の都市経営にも批判的な視座も欲しかった感じもしますが、市職員としての著者にそこを求めるのはやや酷でしょうか。2025/02/16

そうたそ

14
★★★★☆ 昔は京都、今は滋賀に住んでいるが、神戸という地には意外とそれほど行ったことがない。大阪にはしょっちゅう行っているというのに。だが、本書を読んで思うに、確かに神戸という地は災害と復興と共に歴史を重ねてきた街のように思う。本書は、戦災と震災という視点から神戸という街の近現代を振り返る都市史であるが、当然災害の後には復興、あるいは都市開発があるわけであり、幾度の苦難とともに、いかに神戸が発展してきたかを振り返ることができる一冊となっている。図版も豊富で、コンパクトにまとまっている、おすすめの書。2025/01/13

モリータ

8
◆2024年12月ちくま新書刊。著者は1987年生、神戸市職員(公文書専門職)、大阪公立大学(生活科学研究科)特任准教授。専門は都市史・建築史。◆「同じ都市を描くにしても、捉えようとするスケールや時期や対象によって、見えるものは変わる。本書は、明治期から現代までの神戸の都市史をひとつながりに捉え、罹災からの復興によって生まれた神戸というまちの成り立ちを描く。いま自分たちが暮らす、訪れる神戸のまちをどう見るか。そして、これからもいつ発生するかもしれない危機とどう向き合うか、どう再建するのか。本書は近現代(続2025/02/07

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