ちくま新書<br> バブルの後始末 ――銀行破綻と預金保護

個数:1
紙書籍版価格
¥968
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

ちくま新書
バブルの後始末 ――銀行破綻と預金保護

  • 著者名:和田哲郎【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/12発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076595

ファイル: /

内容説明

いまも続く「失われた30年」の直接的な原因とされるバブル経済の崩壊。当時、金融業界では何が起こり、関係者は何を見誤ったのだろうか。段階的に導入された一時国有化、新銀行設立、資本注入、不良債権の分離などの「破綻処理スキーム」は、何を目指したものだったのか。激動の現場で実務に当たった著者がその舞台裏を振り返り、金融不安と隣り合わせの現代に、その教訓と危機対応の考え方を伝える一冊。

目次

はじめに/第一章 金融危機が生んだ経済の断層──97年~98年の日本の経験/「銀行の潰し方を研究せよ」/金融危機が実体経済に与えた悪影響/「魔の97年11月」/第1次流動性危機──山一證券、徳陽シティ銀の連続破綻/初めて目撃した「取付け」の行列/第2次流動性危機──長銀、日債銀の破綻/日銀貸出と公的出資/第二章 公的資金、預金保険の資金援助始まる/低利融資方式の公的資金/護送船団方式と預金保険/預金保険の初適用/BCCIの破綻とヘルシュタット・リスク/東洋信金の巨額詐欺事件/「奉加帳方式」とは何か/事業譲渡か合併かの対立──釜石信用金庫/不良債権の分離から分割譲渡まで/資産稼働効果を導入/悪質な破綻理由──イトマン事件と大阪府民信用組合/大阪府民信組の破綻処理/幻の合併構想/韓国系金融機関初の破綻──信用組合岐阜商銀/太平洋銀行の逆さ合併/太平洋銀行の来歴/大蔵省との擦り合わせ/落とし穴は別にあった/第三章 バブル経済の崩壊/東京協和、安全の二信組破綻/受皿専門の銀行、東京共同銀行の設立/二信組の破綻処理不信の深淵/国民との対話が重要/コスモ信用組合の破綻/木津信用組合の破綻/兵庫銀行の破綻処理──大蔵省と日銀の意見対立/大震災直後の神戸出張/みどり銀行の設立/兵庫銀行破綻物語の終幕/住専の不動産融資で不良債権の山/住専問題、3つの論点/公的資金投入への反感/公的資金投入はなぜ唐突な印象になったか/住専国会の紛糾/第四章 金融危機/三洋証券のデフォルト/寄託証券補償基金から投資者保護基金へ/コール市場でのデフォルト/拓銀の転落/大規模銀行初の破綻/拓銀破綻で北海道経済はガタガタ/交付国債方式で公的資金/望ましい拓銀処理は日銀のつなぎ出資/山一證券の自主廃業/「飛ばし」とは何か/日銀内でもめた特融発動/釈然としない山一證券破綻/山一證券処理の最善策は何だったのか/リーマン・ブラザーズは米国版・山一證券/リーマン・ショックがドル危機へ/リーマン破綻と米国政治の混乱/第五章 ようやく完成した金融システム安定化策/特別公的管理──長銀の一時国有化から外資への売却/金融国会──野党案を丸 みした小渕内閣/ハードランディング/金融債の保護問題/日債銀の連鎖破綻/奉加帳方式の日債銀再建策/長銀・日債銀の刑事責任追及と時効の壁/長銀、日債銀裁判の争点/スケープゴート/貸付信託に膿がたまる/脱・貸付信託を進め、最後は廃止に/幻の日本信託銀行の破綻処理/第六章 遅すぎた特効薬「公的資金」/タブーへの再挑戦/第1次公的出資が極端に少額だった理由/早期健全化法──大規模な注入に成功した第2次公的出資/金融危機局面の変化/「不良債権問題解決を通じた経済再生」/竹中プランの手法/不良債権の大幅減少/金融危機対応措置の確立/竹中改革による金融危機対応措置──りそな銀行の公的資本注入/竹中改革による金融危機対応措置──足利銀行の一時国有化/第七章 公的出資はなぜ遅れたか/日銀がまとめた基本4原則と大蔵省との折衝/住専処理で大蔵省に申し入れ/公的資本注入と受皿金融機関の設立/変遷したメディアの主張/りそな問題に対するメディアの反応/金融危機発生の原因/政府の日銀特融依存/西村銀行局長が公的資金に否定的だったわけ/公的資金はなぜ必要だったか/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とりもり

4
懐かしく読了。不良債権処理が銀行(だけじゃないけど)優遇批判という世論に迎合し、抜本処理が遅延して大手行・証券を破綻処理した結果、実体経済の悪化を加速させて経済低迷を長期化させたという分析には納得できる。一方で、Too Big To Fail原則の線引きをどこに求めるのかなど、非常に恣意的な面もあるので未だにこの議論は進んでいない気がしている。住専処理でも農林系に過度な配慮を実施したあたり、今の米騒動を含めた日本農業の甘やかし体質は何も変化していないとも感じた。バブル金融史のお勉強に最適。★★★★☆2025/06/10

ぎぃ~

3
過去、携わっていたので面白く読めた。金融危機の原点はなんと言っても住専処理だ。当時の武村蔵相と野呂田農相が密室で先に決めたために預金機能も決済機能もない住専に多額の公的資金を注入。農水系の救済を公言しない、と言う条件付きで。この件で国会は紛糾し国民には公的資金に対するアレルギーが生まれた。住専を公的資金注入せずに破綻処理できていればその後の莫大な農水予算や金融機関の破綻も違った形になっていたと思う。2025/02/08

バーニング

1
Too Big Too Fail原則と「金融危機発生の原因は、結局、公的資金投入の遅れにあった」(p.210)を前提にしつつ、なぜ90年代のバブルの後始末に失敗し、90年代後半の巨大な金融危機に繋がったのかをドキュメント形式に振り返る一冊。当時日銀の中の人だった著者は後始末を担当する側でもあったわけだが、90年代の金融危機がその後の経済状況を悪化させてしまい、直接触れてはいないが就職氷河期の長期化にも繋がったことを考えると忸怩たる思いが強くあるのだろうと感じた。2024/12/22

KS20

0
日本の金融史のお勉強の為に読んだ。2025/04/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22273006
  • ご注意事項

最近チェックした商品