内容説明
軍事面から歴史を新たに捉え直す入門書です。古代から現代までの歴史において重要な意味を持つ「決戦」を取り上げ、戦争が生じた背景から、戦略・戦術、そして戦後の影響までを解説していきます。個々の戦闘勝敗には、戦術はもちろん兵器や兵站、軍事機構、そして地形や気象など、様々な要素が関わってきます。本書ではそうした戦闘の中で生じた選択肢と指揮官の決断に注目し、戦争の歴史的本質に迫ります。古代エジプトのメギッドの戦いから、現代のスターリングラード、湾岸戦争まで、「殲滅と攪乱」「技術革新」「火砲の登場」「軍事機構の近代化」「総力戦」をサブテーマに読み解いていきます。本書で戦争や軍事面から歴史を眺めてみると、時代の特徴や変化を明敏に読み取れるという利点も感じることができるでしょう。歴史を「再発見」できる軍事史入門とも言える一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
20
☆☆☆☆ 歴史の観点から戦争について考察した本。マンガ・キングダムが何故面白いのか、この本を読んで改めて納得させられた。戦略~特定の目標を達成するために国力や資源といったものを運用する技術。戦術~戦闘における目標達成のための作戦および行動。決戦の目標達成の手段は「殲滅」と「攪乱」。指揮官の決断の際に、これを補佐するのが参謀本部。2025/06/19
鯖
20
紀元前15世紀エジプトのメギットの戦いからキーウまで25の決戦を取り上げ、勝敗を分けた要因を戦略、戦術、武器、指揮命令体制、司令官の判断等について述べた本。そんなにとっつきづらくもないんだけど、あえて無名の戦争を多くされたとのことで知らないことばっかりで面白かった。…アヘン戦争のジャンク船てホントにジャンクだったんですね。そら勝てんて。南北戦争の奴隷解放、南軍の捕虜をさくさく北軍に投入できるのがアドってそらそうか…。反乱を怖れて、北軍では奴隷に武器を渡さなかったとのこと。2025/02/26
Go Extreme
2
戦場の霧という不確定要素 並大抵ではない決断力 戦闘はいくつもの決断の積み重ね 騎士たちの戦闘技術騎馬衝突撃 騎馬兵を中心とした機動力と騎射の技術 軽装騎兵による陽動と重装騎兵による包囲殲滅 火砲の登場が戦場の様相を大きく変えていった 中世の主力であった騎兵の役割が低下し始めた 小型船の機動性と火攻めを駆使して勝利 自然条件を利用した戦略 組織的な火砲運用が勝敗を分けた 地形を利用した守備 師団システムの導入と柔軟な運用 敵の戦争遂行能力を削ぐことを目的とした焦土作戦 参謀本部の設置や後装式のドライゼ銃2025/04/09
じゃなせ
1
古今東西の歴史的転換点ともなった決戦の戦略的、戦術的分析をわかりやすく紹介した本です。この類の本は、教養、趣味性が強いと思われがちですが、例えば将軍たちの決断に至る背景は職場のリーダーにも通じるところがありますし、失敗をもたらした要因は、やはりビジネスの現場にも活きる教訓となり得ます。 これに限らず、歴史の中から今を生きる我々の身近なところに生きることは非常に多くあり、学びの活かし方は、人それぞれです。それ故に、歴史は面白く、そして人を狂気に掻き立てる怖さすらもあるのだと思います。2025/08/14