内容説明
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広島大学大学院総合科学研究科の教養教育研究開発プロジェクト(21世紀科学プロジェクト群)が、研究課題を「『教養教育』の進化と構造――日本及び諸外国における教養教育の歴史と現在の問題」とし、高等教育の「改革」について、世界での進行を5年かけて調査研究し、その調査や研究会で発表された内容などを書き改めた一冊です。第1部は、ヨーロッパでの教養教育の進化過程を念頭に置き、「教養教育」の源となる「自由学芸七科」を築いたヨーロッパ(ドイツ、オーストリア、フランス)で進みつつある高等教育の改革「ボローニア・プロセス」を具体的に論じ、別の進化を遂げたロシアの教養教育を考察します。第2部で、「リベラル・アーツ」の伝統を持つアメリカ合衆国の教養教育の歴史と現在、メキシコでの高等教育の現状を解説。最後の第3部では、ヨーロッパとアメリカ合衆国による植民地化を経たアジア諸国、フィリピン、台湾、日本が直面する高等教育の諸問題を論じています。 本書が、高等教育と教養教育の現在を考えるきっかけになるかもしれません。
目次
まえがき
【第1部】
第1章 エラスムス計画からボローニャ・プロセスあるいはエラスミスム―知識基盤経済の中の高等教育
第2章 フンボルトの悪夢?―ボローニャ・プロセスとドイツにおける大学教育改革
第3章 オーストリアの大学改革―ボローニャ・プロセスによるカリキュラム改革
第4章 ボローニャ・プロセスとフランスの大学改革
第5章 転換期にあるロシアの大学と教養教育―モスクワ国立大学と極東連邦大学
【第2部】
第6章 アメリカ合衆国の教養教育の歴史的展開の一断面―19 世紀後半から20 世紀前半のハーバード大学を事例として
第7章 カリフォルニア州立大学における一般教育カリキュラム
第8章 米国のリベラル・アーツ・カレッジの変容―マウント・ホリヨーク大学のカリキュラム
第9章 メキシコの高等教育改革―「新自由主義」と「グローバリズム」の波にもまれて
【第3部】
第10章 ネーション・ビルディングと一般教育―フィリピン大学における一般教育プログラムの導入と改革
第11章 台湾の大学通識教育について―国立政治大学「通識教育中心」の活動を中心に
第12章 読書指導と教養教育―広島大学の取組みを中心に
第13章 日本の国立大学における教養教育の現状について考えること
あとがき
編者・執筆者紹介