内容説明
世の中のすべての悲しみを避けて歩くのも、 なんだか気持ちの悪いことのような気がした。 『いなくなれ、群青』、『昨日星を探した言い訳』の著者が描く、 血の繋がらない家族と名前をめぐる物語。 夫を亡くし、小学生の息子・冬明を一人で育てるシングルマザーの愛。父親の死後、義母の愛と弟の冬明を見守りながらも、家族という関係に違和感を持つ大学生の楓。 「世界の一部を盗む」想像上の怪物・ジャバウォックを怖れ、学校に行きたがらない冬明に二人は寄り添おうとするが、「紫色の絵具がなくなったんだ。ジャバウォックが盗っちゃったんだよ」と冬明が告げた日から、現実が変容していく。 ジャバウォックの真実を知ったとき、あなたもきっと、その怪物を探し始める――。 家族とは、常識とは何かを問い直す、壮大なファンタジーエンタメ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
21
「世界の一部を盗む」想像上の怪物ジャバウォックを怖れ、学校に行きたがらない小学生の冬明。彼の言葉をきっかけに世界と家族の関係性を変容させてゆく物語。夫を亡くし、冬明と夫の連れ子の大学生・楓を一人育てるシングルマザーの愛。父親の死後、愛と冬明を見守りながらも関係性に違和感を抱く楓。それでも世界が変容して愛もトラブルに巻き込まれる中で、大切なものを取り戻すために楓が動き出す展開でしたけど、その過程で彼らが本当の意味で家族としてしっかりと向き合って、育まれてゆく大切な絆が感じられる結末がなかなか良かったですね。2024/12/04
イシカミハサミ
15
階段島シリーズと似たような発想から出る物語。 大人になること。 常識が身につくこと。 非常識が失われること。 失われた非常識はほんとうに“よくない”こと? 「人の目を見て話しなさい」 そんな常識を語ったときと同じ顔で 棚の奥にある牛乳をカゴに入れたりはしないだろうか? それはモラルの範囲か。 モラルと常識の境界は? ジャバウォック。 それはコウヨウしたギロンのタマモノ。2025/01/07
椎名
5
文庫化で再読。ひとつひとつのものについている名前はそれに内包するものを総括する名称でしかないんですよね。2025/01/27
ふむ
1
この作者は、相変わらず言葉を丁寧に扱おうとする。ルールがあるならその言葉を逆手に取って解決するというイメージがあったが、本書は、抗うでもなく、世界を広げることで、受け入れてなお立ち続けることも可能という作品である気がした。ネットでみたくない情報は見ない。という私たちへの警鐘のような気もした。2025/01/12
なつみ
0
★52025/11/24




