内容説明
彬子女王殿下が日本美のこころを探す旅。
「赤と青のガウン」の著者・彬子女王殿下が6年間の英国留学を終えて次に向かわれたのは「日本美のこころ」を探す旅だった。
「神宮の御神宝」「皇居の盆栽」「皇室が育んだボンボニエール」など、日本の美を巡る旅を収録した「日本美のこころ」。
「烏帽子」「久米島紬」「漆掻き道具」など、日本の伝統工芸を支える最後の職人たちとの出会いを描いた「最後の職人ものがたり」。
その2冊を1冊の文庫として完全収録。
彬子女王殿下が4年間にわたって巡り続けた「日本美のこころ」を、54篇の美しく瑞々しい文章で綴った珠玉のエッセイ集。
※この作品はカラーが含まれます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なお
39
雑誌『和樂』に連載されたエッセイ集。海外に流失した日本美術に関する調査・研究をされている彬子様。「日本美のこころ」への思いの深さが伝わってくる。月を愛でるため王朝人が愛した桂離宮の事、日本磁器が西洋の貴族の間で垂涎の品だった事など…。正倉院の宝物、京繍、幕末・明治の工芸、相馬の野馬追等多くの優れた日本文化について語られ気づかされる事が沢山あった。「最後の職人ものがたり」として、日本文化を守る砦となる蒔絵筆や建具の金具職人等、多くの職人さんに出会う旅をされる。取材中の彬子様の親しみのある笑顔が印象的でした。2025/03/07
てん06
21
過去に出版されていた「日本美のこころ」「最後の職人」を収録。一般的な内容よりは少し深く、でも研究成果という深さでもなく、私にはちょうど良い。読んで気が付いたのは、工芸品などを作るための道具があり、その道具を作る職人がいるということ。さらにそんな職人たちが減っていき「日本にこの人だけ」というものが多くなっていることの危機感を感じた。落ち着いた文体で、でもところどころにユーモアが感じられてよい読書ができた。本に登場する「美」そして「道具」はぜひカラーの大きな写真で見たい。2025/02/02
緋莢
15
図書館本。『日本美のこころ』、『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』を加筆修正し、1冊にまとめ 文庫化したもの。1年半の間に4回も出かけるほど魅せられてしまった出雲のことや、月を観るために 建てられた桂離宮での観月、鼠の毛の入手が難しくなり、今は猫の毛で代用して作られているという 蒔絵筆の職人のことなどを書いています(続く2025/06/04
はるき
11
日本美を研究者が語るのに、円やかな文章で堅苦しさゼロ。しかも著者が、皇族である彬子女王! 興味深く読了。2024/12/12
たっきー
10
『日本美のこころ』、『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』の2冊をまとめて文庫化されたもの。前半は日本の工芸、美術、文化について、後半は烏帽子、和鏡、琵琶等唯一となった職人について書かれている。蹴鞠に使われる鞠が2枚の鹿革でできていて、中が空洞という構造については知らなかった。いろいろな技術を受け継ぐ職人が減っているのは寂しいが、駿河炭(漆器の研磨に使われる)のように、材料自体がなくなってきているというのも伝統を継承するにあたっての難しさだなと感じた。2025/02/05