孤城 春たり

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孤城 春たり

  • 著者名:澤田瞳子【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 徳間書店(2024/11発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784198659011

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内容説明

直木賞作家・澤田瞳子氏初の幕末小説

借財10万両から蓄財10万両へ――
わずか7年で財政を建て直した備中松山藩の改革


【著者コメント】
幕末を書くのは今回初めて。
倒幕派、佐幕派といった対比関係でとらえられがちな時代だが、
その間に挟まれた数多の人々がいた。
彼らが激動の時代をどう泳ぎ渡っていこうとしたのか、
山田方谷を含めた当時の備中松山藩を切り取ることで描けると考えた。
激しく変化する時代の中でもがいた、ごく普通に暮らしていた
人々の姿をご覧いただきたい。
――澤田瞳子


備中松山藩(現・岡山県高梁市)にて藩校・有終館の学頭(校長)を
務めるかたわら私塾「牛麓舎」を開き、弟子たちの指導に当たっていた
陽明学者・山田方谷は、借財10万両を抱える藩の財政を司る元締役と
その補佐役である吟味役の兼務を命じられる。
倹約令、殖産興業、藩札刷新などの改革により、備中松山藩はわずか7年で
借財を返済、さらに10万両の蓄財を作るまでになった。
だが幕末の激動の波は地方の小藩にも押し寄せる。
尊皇攘夷の声が高まるなか、藩主・板倉勝静が老中筆頭だったことから、
朝敵として備中松山藩に追討令が出され……。
時代の波に揉まれながら懸命に生きる人びとを描いた、
直木賞作家初の幕末群像劇。


【主な登場人物】
山田方谷
(陽明学者/備中松山藩元締兼吟味役)
熊田 恰
(備中松山藩物頭兼剣術指南/玉島騒動で切腹)
三島貞一郎(中洲)
(方谷の門弟/二松学舎創設者)
お繁(福西志計子)
(方谷門弟唯一の女子/岡山県初の女学校・順正女学校創設者)
新島七五三太(襄)
(上州安中藩士/同志社創設者)
川田竹次郎(甕江)
(漢学者/東京大学教授/東宮侍講)
河井継之助
(越後長岡藩士/戊辰戦争で戦死)
板倉勝静
(備中松山藩第七代藩主/大政奉還時の老中筆頭)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

186
澤田 瞳子は、新作中心に読んでいる作家です。幕末弱小財政改革物語、困窮藩は大変だったんでしょうね。https://www.tokuma.jp/smp/book/b655572.html2025/01/02

パトラッシュ

164
藩主の信頼をバックに改革を断行する重臣は、反対者から見れば虎の威を借る狐だ。それだけに役職や身分でなく人格で心服させねばならないが、備中松山藩で財政再建を担った山田方谷は文字通り至誠の人だった。この人のやることに間違いはないと皆に信頼され、その期待に報いるため働きたいと多くの武士を奮起させるほどに。洋船を購入できるほど財政再建を果たしながら、激動の幕末動乱期を迎えて松山藩も苦境に立つが、山田と彼の薫陶を受けた者たちは静かに終幕を迎える。理想の政治家に導かれ、見苦しくなく身を処す藩士とその家族の姿が美しい。2024/12/21

trazom

147
確か、司馬遼太郎さんは「山田方谷は偉すぎて、小説にならない」と仰っていたと記憶する。その方谷を見事に小説にした澤田さんは、凄い。しかも、生涯や事績をただ辿るのではなく、備中松山藩が翻弄される幕末の時代背景が鮮やかに描き出される。方谷の周辺の人たち――方谷を君側の奸として嫌う輩や、唯一の女性の門弟、更には、三島中洲、川田甕江、河井継之助、新島襄ら――とのエピソードを紡ぐことによって、方谷の人物像が立体的に浮かび上がる。「誰に対しても至誠を尽くし、天下の万民を愛しむ」山田方谷という人物への尊敬の念が深くなる。2025/01/01

hiace9000

135
激動の幕末期の備中松山藩。史実の隙に分け入り、山田方谷を含めそこに生きた数多の人々の日常や生涯を丹念に掬い上げ描く圧巻の澤田筆。時系列による五章からなる群像劇は、視点人物を変えながら、時代に揉まれながら懸命に生きる中で、決して手放すことなく絶えず向き合い続けた「至誠の道」を問い続ける。いつもながら緻密な人物造形は、登場人物の輪郭を際立たせ、心の揺れ動きにまで読み手を共振させ、ひと章ごとに馥郁たる読み心地と深い感銘に満たされるのだ。同時期を描いた『残光そこにありて』とともに、近著では二大必読幕末譚であろう。2025/08/30

のぶ

95
澤田さんは幕末を舞台にした小説は初めてとの事だが、どうして、読み応えのある作品に仕上がっていた。全編を通して登場する山田方谷は、備中松山藩士で幕末期の儒者・陽明学者。本作の主眼は、山田方谷という人物に出会い、接することで、幕末という大変動の時代にどう生きるべきかを学び、悟った人々の群像劇にあります。したがって山田方谷は主人公とはならず、各篇での脇役に過ぎませんが、それでもその人物の見事さには感銘を受けます。倒幕側でも会津側でもない備中松山藩に忍び寄る幕末の動乱を緻密に描いた小説で、良くできていたと思う。2024/12/26

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