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内容説明
中国で生まれた漢字は日本語と邂逅し、日本文化に大きな影響を及ぼした。字形・字音・字義は日本独自に発達した面も少なくない。本書は日本における漢字の歴史を言語の側面のみならず、日本の文化や人々との係わりを通して描き出す。古代における漢字の受容、漢文・漢語の定着と万葉仮名の展開、中世の漢字・漢文の和化、和漢混淆文と字音の独自変化、江戸時代の漢学・漢字文化の隆盛、そして近代以降の漢字簡素化・字形整理――より深い日本の漢字文化理解のための必携の通史。
目次
まえがき/第一章 伝来──五世紀まで/1 日本最古の漢字使用/神代文字説/漢字資料としての金印/漢字で記された日本語/漢字使用をめぐる問題点/刻書・墨書された文字/中国からの舶来資料/金錯銘花形飾鐶頭太刀銘/七支刀銘/国内製作最古の銘文/2 漢字の伝来/博士の招聘/論語・千字文の将来/史部の伝承/応神朝の朝鮮関係記事/漢字の伝来/3 漢字伝来の背景/冊封体制/朝貢使の派遣/卑弥呼の朝貢/朝鮮半島情勢の流動化/高句麗の南進政策/渡来人の虚実/4 黎明期の漢文作成/稲荷山古墳鉄剣銘/古音の使用/意富比 /江田船山古墳鉄刀銘/隅田八幡宮人物画像鏡銘/音訳字の表記/八月日十大王と男弟王/和化表記の芽生え/第二章 受容──六~八世紀/1 訓の成立/訓による最古の表記/五経博士の渡来/仏教の伝来/訓が成立する場/訓の由来/2 大陸との往来/朝鮮半島からの舶来文化/十七条憲法と三経義疏/遣隋使の派遣/遣隋使の留学生/遣唐使の派遣/八世紀に海を渡った人々/留学生吉備真備/遣唐使船での渡来人/3 日本漢字音/中国漢字音の構造/漢字音の受容/呉音と漢音/呉音の由来/仏典読誦音/遣唐使と漢音/残存した古音/呉音と漢音の対応(声母)/呉音と漢音の対応(韻母)/奈良時代の漢語/漢語としての元号/4 万葉仮名/音仮名と訓仮名/音仮名の諸相/訓仮名の成立/音仮名用法の分類/連合仮名と二合仮名/略音仮名/二合仮名と地名表記/結合仮名/5 文章表記の進展/和化される漢文/朝鮮半島の俗漢文/俗漢文の伝来/日本的な語順/和化漢文の広がり/略体歌の表記/非略体歌の表記/宣命体/宣命体の歴史的意義/万葉仮名文/6 漢文理解の広がり/漢文訓読の始まり/論語の学習/大学寮の創設/音博士と漢音/書博士と王羲之風/基本図書としての文選/遊仙窟の将来/新字の編纂/新字という名称/字体整理の必要性/第三章 定着──九~十二世紀/1 唐との関係/九世紀の遣唐使/交通と貿易/入唐八家/空海の舶来文化/唐様の書/円仁の入唐/遣唐使の停止/平安時代中後期の入唐僧/2 漢語・漢文の浸透/日本国見在書目録/漢詩文の勅撰集/白氏文集の舶来/日本漢文の展開/女性と漢文/遊仙窟を引用する女房/漢語使用の拡大/命名と漢字/名乗反切/名乗字の成立/3 漢文訓読の定着/大学寮と文章博士/菅原清公/博士家の世襲化/漢音の奨励/密教における漢音/新漢音の伝来/漢文訓読の広がり/訓読の書き込み/ヲコト点/句読点と返り点/声点と濁点/合符と朱引/漢文訓読の固定化/漢文訓読語と和文語/文選読み/4 漢字と仮名/極初期の訓点所用仮名/略体化への道/片仮名の成立/草仮名/多賀城跡漆紙仮名文書/讃岐国戸籍帳端書/最古の平仮名資料/平仮名文における漢字/真名と仮名/5 和化の広がり/和化漢文/将門記の文章/記録体/江談抄の文体/新撰字鏡/独自の部首分類/部首の名称/国字・国訓の収録/和名類聚抄/和名の収集/第四章 伸長──十三~十六世紀/1 日中関係と禅宗/宋との往来/栄西と道元/鎌倉幕府と禅宗/来日僧の活躍/中世の留学僧/五山の盛衰/明との勘合貿易/2 漢文と漢文注釈/五山文学/一休宗純の狂詩/五山の朱子学/博士家における秘伝の家説/抄物/東鑑体/往来物と候文/真名本/真名本伊勢物語/真名本平家物語/地方における中国研究/新しい訓法の提唱/3 唐音と字音変化/唐音の伝来/入声韻尾の消滅/ 韻尾のン表記/字音の日本語化/撥韻尾のmとnの混同/拗音の確立/入声韻尾の開音節化/合拗音の直音化/連声と連濁/入声韻尾pの促音化/入声韻尾pが促音化する傾向/さまざまな慣用音/漢語の読みとその変化/故実読み/4 和漢の混淆/和漢混淆文/本格的漢和辞書の出現/類聚名義抄の部首排列/倭玉篇/書くための辞書/意義分類体の辞書/下学集と節用集/字謎/偏つき/何曽/漢字の遊び/醒睡笑に見えるなぞ/抄物書き/いづれの偏にかはべらん/「しお」の字体と所属部首/複数の部首に分類された例/部首名の由来/部首名の変遷/5 書道と印刷/書道の誕生/和様の起こり/古筆の珍重/版経の出現/中国人の彫工/印刷文化の広がり/第五章 流通──十七~十九世紀中頃/1 明清と近世日本/唯一の貿易港長崎/明清との交易/唐通事/唐通事の人たち/隠元と唐様/独立性易と東皐心越/朝鮮通信史と新井白石/2 漢学と近世漢文/藤原惺窩と林羅山/儒学の学派/藩校/私塾/徳川綱吉と柳沢吉保/荻生徂徠/徂徠の学問/伝統的な漢文訓読の否定/徂徠と中国口語/文人化する儒者/頼山陽/漢文の戯作/唐詩笑/狂詩の流行/寝惚の滑稽、銅脈の諷刺/3 唐話と新漢語/岡島冠山/唐話の教授/通俗物/白話語彙とその訓/蘭学と解体新書/解体新書の訳語/新漢語/4 漢字研究の諸相/国字の認定/国字の研究書/国訓/省文/世話字/新在家文字/磨光韻鏡/韻鏡による姓名判断/字音仮名遣いの提唱/5 出版と教育/活字印刷の伝来/民間の木活字版/活字印刷から整版印刷へ/出版の商業化/寺子屋の普及/往来物などの学習/教わらなかった楷書/真草二行節用集/第六章 発展──十九世紀中頃以降/1 漢語の増加/新出の漢語/漢語の多用/近世中国語の漢語/音にあてる漢字表記/普通文/漢語辞書の編集/漢和辞典の登場/大漢和辞典/2 漢字の制限/漢字御廃止之議の建白/仮名書きの主張/福沢諭吉の漢字制限/矢野龍渓の漢字制限/小学校での漢字教育/使用漢字の目安案/国語調査委員会の設置/新聞社の漢字制限提案/常用漢字表の挫折/標準漢字表/敗戦直後の漢字廃止論/当用漢字表/同音の漢字による書きかえ/常用漢字表/常用漢字表の改定/3 活字と字体整理/明朝体活字の伝来/築地体と秀英体/明朝体の由来/字体整理の提示/漢字整理案/常用漢字表と字体整理案/漢字字体整理案/当用漢字字体表/4 漢字と現代社会/教育漢字/筆順/新聞と漢字/人名用漢字/字画数による姓名判断/漢字の電子処理/印刷字体の標準と許容/手書き文字/参考文献/索引
感想・レビュー
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よっち
Nobu A
さとうしん
bapaksejahtera
アメヲトコ
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