内容説明
東アジアの近代化は、単なる西洋化の道ではない――福沢諭吉、デューイ、ユンチホ、ビアード、吉野作造、魯迅、胡適といった東アジアの知識人が、西洋諸国の東アジア進出以降、アメリカ知識人の影響を受けつつも陽明学の伝統を背景として独自に近代化を完遂する思想的支柱を保持し続けてきたことを明らかにする。アメリカ研究から日本近代史研究に移った異色のアメリカ人研究者が紐解く東アジアの近代化、初の日本語訳。
本書は2018年にRoutledgeより刊行されたJon Thares Davidann著『The Limits of Westernization: American and East Asian Intellectuals Create Modernity,1860-1960』の翻訳です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
八八
3
日本、中国、韓国、東アジアにおける3国における近代化は、西洋によるものだ。という言説は膾炙している。そこには、進んだ西洋、遅れた東洋という構図が見え隠れしていると言える。本著は、その言説に挑んだものである。福沢諭吉を始めとして、先に挙げた東アジアの思想家とアメリカ人の思想家を交互に分析しながら、東アジアにおける近代性の獲得が、アジアの思想家による自発的なものであると指摘し、西洋化の限界について論じる。2025/03/02
Go Extreme
1
近代性: 西洋化 プラグマティズム 民主主義 自由主義 個人主義 科学的合理主義 社会改革 市民社会 思想家: 福沢諭吉 明治維新 胡適 魯迅 梁啓超 康有為 五四運動 教育改革 国家建設 ナショナリズム アメリカ的思想: ジョン・デューイ フランツ・ボアズ W.E.B.デュボイス チャールズ・ビアード ランドルフ・ボーン 教育思想 多文化主義 実用主義 社会運動 知識人の役割 歴史的背景: 日露戦争 甲午戦争 第一次・第二次世界大戦 冷戦期 国際主義 占領政策 経済成長 文化的葛藤 アジア太平洋秩序2025/03/30
森中信彦
0
註等を含めると400頁を超える大作で、魅惑的な表題の著書だが、得るところがほとんどなかった。 サブタイトルが、「アメリカと東アジアの知識人が近代性を創造する」、第二章のテーマが「一八九〇年代から一九一〇年代にかけてのアメリカ的思想における近代性の発展」とされていることに、違和感があったが、読み進めるうちに、この著者は日本や中国の思想家たちを表面的にしか捉えられないこと、プラグマティズムを礼賛している軽薄な学者であることが明確になっていった。 (続く)2025/07/07