内容説明
吉兵衛は吉原で空虚な日々を過ごしていた。房州の縫箔師の子に生まれながらも、絵師を志し故郷を出奔。狩野探幽に入門を志願したものの、門前払いをうけたことで不遇をかこっていたのだ。放蕩の日々のなか、気まぐれに遊女の小袖に刺繍を施した吉兵衛は、己の技巧で人々を笑顔にする喜びを知る。ふたたび創作の焔を心にともした吉兵衛は、絵師として名をあげる決意をした。浮世絵の祖・菱川師宣の熱き生涯を描いた歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
21
【図書館】絵師・菱川師宣のお話し。 師宣はそんなに詳しくは無い、「見返り美人」の作者であるという事ぐらい。 読んで「べらぼう」のはるか前の時代を生きた人と判った。 工房、版元の混沌とした時代、狩野派に対しての「浮世絵」を立ち上げた新時代を創り上げた作家さん。 いろいろな要素を組み合わせ画を創る、「さいとう・プロダクション」を思い浮かべた。 線を引くだけの人、背景を描くだけの人、部品だけの人、それで名前が残るのは「さいとう・たかお」では、それに携わる人はやってられねえと思う事も有るだろう。 菱川師宣も大変だ2025/02/17
陽ちゃん
7
安房の縫箔師の息子吉兵衛は、絵師をめざして江戸へ出、狩野派への入門を乞いますが門前払いされ、苦労の末に菱川師宣として成功。そこまでは良かったのですが、名が売れたことにより、菱川一門を守るべしと、弟子や息子たちを分業制の道具のように扱ってしまったのは、まさに狩野派のようで、何やってんだ、と思っちゃいました。まぁ、最後に気づいただけ良かったのでしょうけど。因みに、菱川師宣って言われても、恥ずかしながら作品が浮かびませんでした(汗)。ラストで彼が描いている描写で、漸く「見返り美人図」の人と認識しました。2025/01/23
kazukitti
6
菱川師宣がそんな偉大な絵師とは知らなかったでゴザルの巻よ。高校日本史程度の文化史の上っ面眺めただけじゃ所詮は浮世絵の「見返り美人のひと」しかわからんよねぇ。絵のバックに文字を書くっていわば、商業的イラストの祖でもある訳で、浮世絵が現代の漫画の祖となるなら、いうたらサルから何とかピテクスに進化分岐したその起点なワケで、数多の可能性の中から現代に続く一本の確かな線のその始点てのは、いやぁ知らんかってん。てのは措いといて、基本絵師(芸術家)の話は大体才能と世に認められるられないのドータラコータラ2025/08/02
ごま
1
菱川師宣の物語。父の家業を継がず、絵師になるため江戸にでたが狩野派に否定され、遊郭で遊び暮らす吉兵衛。さくらという遊女に出会い、絵に再び向き合っていく。蔦重に出てくる鱗形屋が係わってくるので、蔦重も出てくる?とおもって読んでいたが、時代が違ったようでした。なんとか成功していくが、いつの間にか本の工場のようになり息子たちや弟子達も心がはなれていく。ラストが良かった。有名な見返り美人を描き上げていく場面。情景が浮かんでくるようだった。梶さんよかったです。2025/08/19
takao
0
ふむ2025/07/22
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