内容説明
中学時代、クラスのお客様扱いでぼんやりと過ごしてきた青崎架月。15歳の春、この明星高等支援学校に進学したことで、そんな日常にちょっとした変化が。先輩が巻き込まれたゴミ散乱事件、ロッカーの中身移動事件、生徒失踪事件を同級生や先輩の手を借りながら解決していく。高等支援学校を舞台に、初めてできた友人たちとの対等な付き合いに戸惑う架月の青春と、彼が出合った謎を描く連作集。「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
78
(2025-50)【図書館本-37】初読みの作家さん。仙台にある特別支援高等学校を舞台したライトミステリというちょっと変わった設定が気になり手に取った。発達障がいや軽度の知的障がいを持つ子供達。少し計算が遅かったり、人とのコミュニケーションが苦手だったり、普通の人ならばなんでもないことが、大きなプレッシャーだったりする。作者は支援学校にお勤めなので、実際もこんな感じなのかもしれない。ミステリーというよりは彼等の青春物語であり、成長物語だ。タイトルの通りに、彼等の青春はちょっとだけ特別。★★★★2025/04/04
さつき
61
高等支援学校に通う15歳の架月が主人公。個性豊かな同級生や先輩の間で、様々な事を謎と捉え解決していく姿には目を見張らされました。支援を必要とする子ども達はどのように物事を捉え考えているのか。とてもイメージしやすく気づきのたくさんある作品です。中学校で周囲の同級生の言動にイライラしがちな娘にも読んでほしいと思いました。2025/07/08
オフィーリア
58
高等支援学校を舞台にした小さな謎を追う学園青春ミステリ。生徒達の感情がとても細やかに描かれていて、時には衝突しながら成長していく姿がキラキラ輝いている。どの謎も後ろにあるのは優しい真実たちで、読んでいて暖かな気持ちになる素晴らしき作品。2025/01/27
のぶ1958
55
特別支援学校に通う高校生たちが主人公の青春謎解きもの。表紙の写真がとても素敵。著者が支援学校の先生ということで要支援の子供たちの日常と先生方の丁寧な接し方が印象深く、仕事上でも色々な気づきをもらうことができた。 ミステリーとしては話の展開にはもどかしいところもあったが、エピローグでの主人公たちの就職先での活躍を応援したくなります。2025/07/19
konoha
52
優しい探偵が解く優しい謎。明星高等支援学校に進学した架月は個性的な同級生や先輩、先生と関わり、学園生活で起こる事件の謎を解きながら成長していく。勇気を出して事件の説明をする架月に誠実に向き合う先生。生徒たちの思うようには進まない日々に作者は丁寧に寄り添う。ミステリーとしてはスピーディーに読めないのが少しもどかしい。ささやかな謎が続いたが、終盤で深谷が失踪して驚いた。この話が1番好き。皆が誰かを思う心が美しい。彼らにとって学校が居心地の良い場所であり続けますように。表紙とタイトルがすごく良い。2025/04/18