ジンメルにおける社会生成の理論

個数:1
紙書籍版価格
¥4,400
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

ジンメルにおける社会生成の理論

  • 著者名:杉本学
  • 価格 ¥4,400(本体¥4,000)
  • 学文社(2024/11発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 1,200pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784762033148

ファイル: /

内容説明

19世紀後半から20世紀初期のドイツにあって、
哲学および社会学上のさまざまな業績を残したゲオルク・ジンメル。
彼の業績や先行研究にも触れたうえで、
そのジンメルの社会学を、社会学の基礎理論として再検討・再評価する。

ジンメルの社会学、とりわけ形式社会学について、独自の検討をおこない、
その社会理論としての再評価をめぐる議論の進展に寄与する。

〈ジンメルの形式社会学は、人びとの相互作用から出発して、超個人的な存在としての
「社会」の存立機制を解明する、という理路を内包するものである。
その根底には、彼の生の哲学における「生の主観/客観への二元的分離」と、
その帰結としての諸個人の疎外という問題意識があった〉。

本書では、第1に、ジンメル形式社会学の記述の中から
超個人的な存在としての「社会」の生成に関わる論点を抽出する作業と、
第2に、そうして抽出された論点がジンメルの社会哲学的な問題意識と
いかに関連するかについて検討する作業をおこなう。

今日における、社会理論および社会分析のどのような文脈に、いかに位置づけられるのか。
得られた成果に基づき、現在の社会情況も交えて考察する。
「個人と社会の葛藤」の問題に取り組む、ジンメルの社会学をより理解するための1冊。

目次

序 章 本書の趣旨
  1 ジンメル社会学に対する捉え方
  2 本書の主題
  (1)相互作用から「個人と社会の葛藤」へ
  (2)社会の〈内部かつ外部〉の視点
  (3)本書のアプローチ
  3 本書の概要

第Ⅰ部 ジンメルと社会学
 第1章 ジンメルの生涯と業績
  1 ジンメルの生涯
  2 ジンメルの時代
  3 ジンメルの学問
  (1)ジンメルの業績
  (2)ジンメルの全体像―先行研究から―
  (3)哲学と社会学
  小  括

 第2章 ジンメル研究の動向
  1 初期の研究
  2 ジンメル・ルネサンス
  3 日本での受容
  (1)初期の受容
  (2)戦後の復活
  小  括

 第3章 ジンメル社会学の基本的視角
  1 相互作用と生成
  2 抽象とアナロジー
  (1)「社会化の形式」の抽象
  (2)アナロジカルな手法
  3 対立物の融合
  小  括

第Ⅱ部 二元論と両義性
 第4章 「女性」と二元論の統一
  1 ジンメルの男女論
  2 ジェンダー論としての限界
  3 ジンメル男女論の読み換え
  (1)二元論の2つの統一
  (2)2つの統一の統一
  小  括

 第5章 「よそ者」と第三者の視座
  1 社会のアプリオリとよそ者
  2 「排除された者」としてのよそ者・貧者
  (1)よそ者の社会学的意義
  (2)貧  者
  (3)社会化の形式としての「排除」
  3 内部と外部の二重性
  (1)「排除」と三者関係
  (2)社会の「内部」と「外部」
  小  括

 第6章 支配と多数決における個人と社会
  1 「一人支配」からの出発
  (1)「排除」と〈外在性〉
  (2)「敵」あるいは「よそ者」としての支配者
  (3)支配者の〈外在性〉と従属者の〈余剰性〉
  2 多数決の社会学的意義
  (1)「社会構成の本質」と票決の意味
  (2)多数決以前としての満場一致
  (3)多数決
  3 支配における個人と社会
  (1)3形式の検討
  (2)「多数決」から「客観的な力への従属」へ
  小  括

第Ⅲ部 相互作用から〈個人と社会〉へ
 第7章 相互作用と「個人/社会」二元論
  1 探究の方向―「抽象次元の相違」から「発生論的考察」へ―
  (1)形式社会学と一般社会学
  (2)多数決論における「新しい転換」
  2 「超個人的な統一体」の発生
  (1)三者関係論からの知見
  (2)社会圏の拡大と機関の形成
  (3)社会の内部と外部
  3 「相互作用」から「個人/社会」へ
  小  括

 第8章 ジンメル社会学の「根本問題」と「超個人的な統一体」
  1 個人と社会の葛藤
  (1)2つの個人主義
  (2)分業と「社会と個人の葛藤」
  2 生の超越と超個人的な統一体
  (1)形式社会学における個人
  (2)生の自己疎外と理念への転換
  (3)文化の悲劇
  3 生の自己疎外と社会
  (1)生から相互作用へ
  (2)生の哲学と形式社会学における「転換」
  小  括

 終 章 本書の成果とその展望―「物象化論」としてのジンメル社会学―
  1 本書の成果
  2 ジンメルの「物象化論」
  (1)物象化論への接近
  (2)物象化論としての『貨幣の哲学』
  3 「物象化」と「疎外」
  (1)疎外論から物象化論へ
  (2)問題としての「疎外」
  (3)物象化のポジティブな側面
  4 「個人と社会」の現在
  (1)作田啓一の個人主義論
  (2)現代社会の考察に向けて

 付論1 三者関係論から差別の社会学へ
  1 「三者関係としての差別」論
  2 集団における被差別者の位置づけ
  3 マジョリティの普遍化
  小  括

 付論2  近接性と距離―バウマン道徳論におけるジンメルの援用をめぐって―
  1 バウマンの道徳論
  (1)ポストモダンと道徳の再個人化
  (2)近接性と距離
  2 ジンメルの諸論点
  (1)二者関係と三者関係
  (2)他者の認識
  (3)よそ者と貨幣
  3 バウマンにおけるジンメルの影
  (1)二人の道徳パーティ(moral party of two)
  (2)第三者の出現
  4 考  察
  (1)二者関係/三者関係
  (2)バウマン道徳論への批判と期待

 あとがき
 文献リスト

最近チェックした商品