内容説明
物語の中の〈弱さ〉が、読む人の心に火を灯す
どの作品も、〈弱さ〉を正面から描いているから――。著者が数々の作品の翻訳を手掛けるなかで、「なぜ韓国現代文学に魅せられるのか」を自らに問い、深く考えてたどり着いたのが、この答えでした。〈弱さ〉とは、自らの意志とは関係なく選択肢を奪われた状態のこと。その視点で、『82年生まれ、キム・ジヨン』をはじめとする多彩な13の作品を読み解きながら、そのメッセージを探り、魅力を掘り下げます。一つひとつの物語を丁寧にたどっていくと、この暴力的な現代社会を生きるための道が照らし出されるはずです。
2023年1月~3月にNHKラジオ第1「カルチャーラジオ 文学の時間」で放送された同名の講座の待望の書籍化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイティ
32
「弱さ」や「痛み」が韓国文学の主軸という印象はあったが、こうして「弱さ」の解像度を上げると、各作品を深く理解することができた。女性作家だと総じてフェミニズムに集約されてしまうが、主義や主張でなく自分たちがなぜこうなのかを分解していった先にあるもの。傷ついた、つらかったことにようやく向き合いだした切なる声のように感じる。文学にしかできないことがあり、だから必要なのだと痛感。小山内さんの自著は初めてだけど、明瞭で論理的。テーマを絞り掘り下げられたブックガイドとして、学ぶことや考えさせられることが多々あった。2024/11/27
かふ
18
カルチャーラジオ「文学の時間」で聴いていたのでざっと読んだ。実際にその作品を読んだりしたのだが韓国文学の魅力はメッセージ性の強さだろうか。それは弱者の立場から来ていて自然フェミニズムが多くなる。日本では行き過ぎフェミニズムとされているが、韓国は日本以上に儒教色が強く男尊女卑だった。その疑問が村上春樹などの日本のポップな作品を読んだ世代が日本では女性が自由だと感じたようだった。さらに女性作家の発言が強まって、ハン・ガン(この本では出てこない)とかファン・ジョンウン(一番好き作家)とか出てきたのだろう。2025/01/15
かめぴ
11
ず〜んと胸にくる感じ。「選択肢を奪われた」弱者の立場から読み解く韓国文学。丁度『ラブ・イン・ザ・ビッグシティー』鑑賞後。「大都会の 愛し方」も出てくるので読んでみる。日本と大きな相違点(感じ方)行動に移すかどうかだと思う。今現在はどうか知らないが、一昔前のセクハラパワハラモラハラ等が普通だった頃のような内容に、声をどう上げるかが問題。(遂に上げてしまって現在に至る私少しはスッキリ)2025/06/24
チェアー
10
韓国の作品には「読み逃げ」を許さない空気がある。読んでしまったからには、お前はどうするんだ、何をするんだと迫られているような感覚がある。変わらなければ、自分たちが生きる場所がないと言っているように。 2025/01/20
しゅー
9
★★桜庭一樹『読まれる覚悟』の参考図書。社会に対するメッセージ性が強い小説が敬遠されがちな日本と、逆に小説とは社会に対して物申す責任があると考える韓国。そんな日韓を対比させる文脈で本書は紹介された。著者は韓国の小説が発信するメッセージを「弱さ」と言うキーワードで読み解いていく。本書に登場する作品のうち『82年生まれキム・ジヨン』と『破果』は既読だった。前者について、読者の過度な感情移入を妨げることで「物語として消費して終わり」になることを防いだとの指摘が印象に残る。そして『シソンから、』を読みたくなった。2025/05/01
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