内容説明
精神分析の過程は,意識していない自分との出会いであり,私たちは誰しも,さまざまな喪失を体験し傷つく。そして多くの事例において罪悪感を意識的無意識的に抱きながら生きている。
本書は,精神分析の主要な基礎理論を援用してクライエントの精神病理を解釈し,治療へと導くアプローチを紹介する。摂食障害,思春期の問題(解離,虐待,過食,自傷・自殺企図などの自虐的な破壊的行動,対象喪失のためのmorning work),パーソナリティ障害の事例を,“迫害的な罪悪感”をキーワードにケーススタディを全編に挿入し,都市型精神疾患への精神分析的アプローチで解釈した実践的臨床書である。そして著者は,精神分析における鍵概念である投影同一化,転移・逆転移,解釈,共感等を詳細に解説しながら,対人関係を展開する心理的-対人的プロセスとして捉えなおすことで,さまざまな臨床場面に応用可能な実践的技法を紹介する。
精神分析的精神療法を学び,現場での応用を目指す人々にとって,多くの臨床知見を網羅した本書は真に有効な書となるであろう。
目次
第1部 精神分析的邂逅
無意識の迫害的罪悪感―その治療的取り扱い
知ること,考えること,「私」であること――ある恐怖症症例より
ある非定型精神病者との精神分析的精神療法――そのパーソナリティへの接近
蒼古的体験へ――面接空間で退行していくこと
[エッセイ]熟成されていくもの――ビオンとの出会い「ビオンに学ぶ分析臨床」討論より
第2部 摂食障害を生じるこころ・パーソナリティ障害に見るこころ
拒食症における不安の源泉
摂食障害例における母親のmourning workが果たした治療的役割――母子同席面接を通して
摂食障害の彼女が嫌悪しているもの
摂食障害の精神分析的理解
[エッセイ]摂食症治療との出会い――「拒食症治療の手引き」の翻訳から
ねじれた愛情希求――逆転移夢からの理解
[エッセイ]自己感の形成――ナルシシズムについて
第3部 精神科臨床における立ち位置
mourning workを抱える環境のマネージメント――管理医の役割
愛着障害患者治療におけるコンテイナー機能
[エッセイ]治療者に攻撃的となるケース:困難ケースへの射応
終章:こころが自由になること
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