ちくま新書<br> 世界経済史講義

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ちくま新書
世界経済史講義

  • ISBN:9784480076588

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内容説明

世界における経済の歴史は、どうなっているのか。経済はいつ誕生したのか、資本とは資本主義とは何か。利子、帝国、法人の誕生、バブルの発生、世界恐慌、戦争と経済成長など、さまざまな観点から見ていく。宗教と資本主義が密接に関係していることも明らかにする。グローバル資本主義は終焉を迎えつつあるが、今後は何が経済を動かしていくのか。経済学者の水野和夫が宗教学者の島田裕巳を聞き手に、わかりやすく説く。

目次

はじめに 島田裕巳/第一章 経済の始まり/一三世紀に「資本」が誕生した/日本の大都市が直面する曲がり角/経済史の難しさ/経済史に革命をもたらすブローデルとの出会い/経済史と社会史の交差点/浮世離れした理論経済学の現実/大恐慌とケインズ政策の教訓/肥大化するシンボル・エコノミー/世界帝国から地域帝国へ/グローバリゼーションと宗教の結びつき/世界経済史の課題/第二章 ローマ帝国に見る帝国と経済/経済活動の萌芽/農業革命とエネルギー効率/帝国の本質/帝国拡大の限界とその代償/帝国と帝国主義/キリスト教の拡大と経済的要因/利子の禁止/キリスト教はなぜ利子を容認したのか/一三世紀の転換──救済から成長へ/第三章 テンプル騎士団からメディチ家へ──貨幣と金融の時代/ヨーロッパ以外の経済/中国経済の先進性/イスラム経済の特徴/イスラムには法人がない/テンプル騎士団の金融活動/メディチ家の台頭/為替取引による利益創出/第四章 一三世紀における資本と資本主義の誕生/ブルジョアジーと都市化がもたらした経済拡大の波/一三世紀に経済が転換した理由/金貨の発行/機械時計、大砲、複式簿記の出現/中世の金利論争──ラテラノ公会議と教会のジレンマ/教権と世俗権力の対立/オリーヴィ理論の意義──貨幣が「石」から「種子」に変わった/オリーヴィ理論が700年間隠され続けたのはなぜか/第五章 教会に代わる株式会社という法人の誕生/即日配達とナノ秒取引が示す資本主義の「過剰」/法人と宗教組織/不輸不入の権利という壁/パートナーシップから法人格へ/戦争が株式会社を作った/東インド会社の誕生と株式制度/国債というイノベーション/南海会社と投機ブーム/アダム・スミスの株式会社批判/第六章 「長い一六世紀」とは/価格革命が起こった/利子率革命/ヨーロッパと日本の相似性/実質賃金の低下はなぜ起きたか/ルネサンスの経済史的意義/マキャベリとホッブズ──近代国家のデザイナー/宗教改革と情報戦/コペルニクス革命の本質/「長い一六世紀」と「長い二一世紀」/第七章 宗教改革とマックス・ウェーバー/『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を問い直す/富の集中とその進化/帝国と市場の論理/官僚制と資本主義/官僚制の日米比較/戦争と資本主義の密接な関係/戦争と経済成長のパラドックス/贅沢と欲望が生み出す資本主義/第八章 チューリップ・バブルはなぜ起きたのか──バブルの発生/八〇年代バブルとは何だったのか/プラザ合意前から市場は加熱していた/バブル崩壊の内実/土地バブルはいつ終わったのか/チューリップ・バブルの衝撃/なぜバブルは弾けたのか/シェイクスピアの慧眼/南海泡沫事件の 末/ミシシッピ計画/第九章 覇権国家としての大英帝国/海を制した大英帝国/オスマン帝国とヨーロッパ/オランダとイギリスの優位性/オランダ覇権の背景/イギリス帝国の拡大──第一帝国から第二帝国へ/イギリスのインド支配/蒸気機関と石炭の力/石炭が近代をもたらした/大英帝国の終焉/第一〇章 世界恐慌とアメリカ/マルクス流の「世界創造神話」/学問の細分化/そして資本は神になった/FRB神話の崩壊/古典的自由主義からケインズへ/過剰生産と恐慌のメカニズム/マルクスとエンゲルスの観察力/ケインズ理論の功績と限界/ケインズが予言したゼロ金利社会/第一一章 戦後の経済成長/第一次世界大戦の意味/帝国の三要素/社会主義が負けたのはなぜか/ドイツ処理の失敗/帝国理論から見る第二次世界大戦/枢軸国の成立背景/冷戦の帰結/戦後復興の逆説/経済成長の条件/第一二章 世界経済史から学ぶべきこと/帝国にとっての経済成長/資本主義はいつ誕生したのか/「ビジネスマン」は軽蔑語だった/資本を定義できるか/近代経済学とは何か/物価二%上昇を目標にする理由/なぜ「異次元」緩和だったのか/資本家の安楽死/人間がいらない世界/人類のゆくえ/未来は予測できない/おわりに 水野和夫

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ta_chanko

23
利子率に注目して世界経済や資本主義経済を考える。一神教世界では、長らく(同胞への)利子が禁じられていたため、経済発展のない定常状態の農業社会が続いていた。しかし12世紀頃、十字軍や東方貿易の影響でイタリアの海港都市が栄え、利子が認められるようになると、資本主義経済が誕生した。結果、イタリアでは利子率が低下し、投資先はオランダ(チューリップバブル)・イギリス(南海泡沫事件)・フランス(ミシシッピバブル)へ。現在の日本でも利子率が低下し、魅力的な投資先ではなくなっている。バブルの到来か資本主義の終焉か。2025/02/25

まゆまゆ

16
資本主義が誕生したと考えられる12世紀頃からの世界史を宗教と経済の面から語る対談集。利子によって今日よりも明日が資本が増える、という考えが生まれた。以後法人の誕生など資産を増やすための制度がどんどんうまれたが、もはや定常状態に陥り日本全体として資本を増やさなくとも良くなった?のだろうか。キリスト教は商売を是としていなかったがイスラム教は商売人が教祖、など小ネタも興味深い。2025/01/21

Go Extreme

1
経済史の重要性と理論経済学の限界 過去の経済活動という実験データの宝庫 シンボル・エコノミー 実現困難な世界帝国と地域帝国の時代 近代人の「資本教」入信 資本に代わる新中心模索の現代 農業安定と帝国への道 土地を持たぬ金持ちの誕生 イスラム社会の福祉と喜捨の思想 メディチ家の利子回避と為替利用 貨幣概念の変化 不輸不入の権利と法人化の願い オランダの革新的航海術と歴史の転換点 国家建設という人間のデザイン コペルニクス革命 戦争頻発と経済成長の逆説 バブル発生の心理的要因と崩壊 幸せは自分で見つけるもの2025/04/28

takao

0
ふむ2025/01/30

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