ちくま新書<br> 投資で変わる日本経済 ――「アマチュア資本主義」を活かす途

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ちくま新書
投資で変わる日本経済 ――「アマチュア資本主義」を活かす途

  • 著者名:宮川努【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076571

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内容説明

賃金が上がらない。ハンコがないと書類も回せない。停滞から30年も抜け出せない。日本は資本主義の落第生なのか?――新型コロナウイルス感染拡大によって、日本経済の脆弱さが浮き彫りになったが、それはバブル崩壊以降、問題を先送りし続けてきた当然の帰結だ。長期停滞の原因は日本の「アマチュアな資本主義」であるとし、データで検証。さらにデジタル化や人材育成への投資の必要性を説き、日本らしさを活かした非市場的な「豊かさ」への新たなアプローチを模索する。日本経済の閉塞感を打ち破るための一冊。

目次

はじめに/序章 日本は資本主義の落第生なのか? /日本は資本主義経済の落第生か?/市場と資本主義/資本主義の類型とは?/「プロフェッショナル資本主義」と「アマチュア資本主義」/「資本」の捉え方/「投資」と「資本」の関係は?/ジョーン・ロビンソンの資本論/日本は資本不足?/見えざる資産の存在/広がる「資本」の範囲/投資なくして「豊かさ」なし/I 投資なき長期停滞/第1章 なぜコロナ前を容易に超えられなかったのか? /コロナ禍における三年間の総括/マクロ経済面の国際比較/リーマン・ショックとの比較/コロナ禍がもたらした産業間の格差/もうコロナ前には戻れない?/デフレからインフレへ/供給サイド重視の政策への転換/第2章 なぜ長期停滞から抜け出せなかったのか? /「失われた三〇年」/平成の長期停滞/投資と貯蓄/マイナスの実質利子率/投資不足はなぜ起きたのか?/実証分析は、投資の停滞を説明できたのか?/「アマチュア資本主義」での投資決定/いったい何が「失われた」のか?/供給力低下の要因/日本の「ベスト・アンド・ブライテスト」/日本版金融危機の後遺症/第3章 なぜ「アマチュア資本主義」を続けるのか? /停滞は貧困化願望のせいか?/「プロフェッショナル資本主義」の特徴/「合成の誤謬」からの解釈/他力本願の行動原理/経済学や資本主義への不信/開発独裁からの転換は可能か?/日本は小さな「ムラ」社会の集合体/個人と「ムラ」/「ムラ」の功罪/「ムラ」の決定原理と「アマチュア資本主義」/従来型「アマチュア資本主義」の限界/II 日本経済の選択肢/第4章 デジタル化なくして前進なし/ICT革命とデジタル化/デジタル化の系譜/デジタル化の遅れがもたらすもの/日本のデジタル化の国際的評価/生産面からの比較/投資面から見たデジタル化/ソフトウェアの利用方法の変化/ICT投資と生産性/ICT設備の価格は国際的に均等か?/なぜ日本ではデジタル化が進まないのか?/テレワークの進展/公的分野でのデジタル化を/第5章 人材投資の復権/なぜいま人材育成なのか?/人的資本の概念/マクロレベルの人材育成投資の動向/人材投資の国際比較/人材投資の補完効果/コロナ禍で人材育成は変わったのか/コロナ禍前後のOJT、Off‐JTの比較/新規投資と研修/行動制限の解除で、人材育成は変わったか/調査結果をもとにした人的資本の推計値/プロの人材を目指して/第6章 「アマチュア資本主義」2.0/揺れる日本の「豊かさ」/市場経済と非市場経済/「豊かさ」への様々なアプローチ/ジョーンズ クレノウによるアプローチ/国際機関が発表する「豊かさ」の指標/日本における「豊かさ」または「幸福感」の研究/「資本アプローチ」/「資本アプローチ」と「社会的共通資本」/どのアプローチを目指すべきか/「豊かな」社会への選択/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゼロ投資大学

2
日本経済が長期低迷してきた理由は、日本が「投資」することを怠ってきたからである。設備投資だけでなく、人材やソフトウェアなどの無形資産など、これからより良い商品やサービスを生み出すものへそれほど投資してこなかった。日本経済復興の鍵は、デジタル化にある。人材育成とより良いソフトウェアの開発など、生産性を向上させるためにデジタル技術を活用しなければならない。2025/03/01

Hiroki Nishizumi

2
読んでみて、課長の能力はあるが部長の能力がない人物そしてなぜかその人が役員になっている日本の会社が連想された。ある時期には従来のやり方がハマったけど時間の経過とともに変わらなければならないが、分かっていても出来ない日本の組織と同じだ。日本の未来が暗く感じる。2025/02/11

mol

1
日本の現実は資本主義にあらずということをアマチュア資本主義という言葉で表した本。企業の高度成長期の投資は金融と良質の労働力のおかげ(事実上の開発独裁)で、バブル崩壊後に設備余剰になると、技術革新の種や事業機会を経営者が見いだせず投資不足になり、経済が停滞したとの指摘だ。日本はムラ社会との論点がいい。ムラの集合体のトップである首相や社長は最高決定権者ではなく調整役でムラの住民はリーダーシップなど望んでいない、労働者は仕事の内容と報酬が一致せず不安ややらされ感があり、居場所を確保したいだけといった表現に納得。2025/04/26

Go Extreme

1
マチュア資本主義: 現状維持重視 リスク回避 変化への抵抗 積極的な投資不足 特に将来への備え 設備 人材 デジタル 軽視 ムラ社会的構造 内向き 協調性偏重 停滞の要因:バブル崩壊後の構造改革遅延 グローバル化 デジタル化への対応遅れ プロフェッショナル資本主義との対比:合理的判断 長期的視点 積極的投資重視 意識改革:アマチュア気質克服 リスクテイク奨励 投資促進:設備 人材 デジタルへの積極的投資 構造改革:市場機能活用 ムラ社会脱却 豊かさ再定義:GDP偏重脱却 包括的富 社会的共通資本重視2025/04/18

yasuhiko

1
 本書は日本経済が長く低迷している理由を設備投資の少なさにあると指摘する。特に、日本は「ムラ」社会で、リーダーが調整役にとどまり、新しい挑戦がしにくいという分析には納得させられる。成長にはデジタル化と人材育成が重要だとするが、この点は多くの人が賛成するはずでもう少し具体策が欲しかった。2025/02/13

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