内容説明
滋賀の近江八幡市にある小さなパティスリー「みいちゃんのお菓子工房」。2020年1月、小学6年生でこのパティスリーの店長兼パティシエになったのは、杉之原みずきさん(愛称:みいちゃん)です。みいちゃんは、家族以外の人と話すことがとても難しく、自宅から一歩外へ出た集団生活の場では声が出なくなり、体も自分の意思では動かなくなるという障がい(場面緘黙症および、自閉スペクトラム症)を抱えていました。本書は、そんなみいちゃんが自分のお店をもち、「自分らしさ」を取り戻すまでを、母親である著者が赤裸々に綴る「みいちゃん家族のドキュメンタリー」です。みいちゃんは常識の中では生きていけない特性を抱えていたため、世の中の「当たり前」とは何なのかを突きつけられる事象がいくつも発生。義務教育や制度の壁が立ちはだかります。そして数々の苦難と気づきと出会いから、夢の扉が開かれる――子育てのアンラーニングの視点をも伝える一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sleep@芒羊會
9
たまたまtwitterで知って以来、私が研究したいテーマと被っているということで、通販でお菓子を買ったり講演に行ったりと参考にさせてもらっている。我が子の生きる道を切り拓いて行った、お母様が逞しい。尤も、本人は『子どものためです』と言っていたけど。誰かを守る、そういうことの積み重ねでこの社会は成り立っているのかもしれない。2024/04/02
yuko
4
場所、人、物の全てが安心できる環境でないと身体が動かなくなる症状を持つみいちゃん 学校では給食も給水も出来ず、全体の切れた人形のようになる彼女はお菓子作りに天才的才能を持っている。 みいちゃんの社会適応の為に、彼女の才能を活かしてお菓子工房を開いた家族の奮闘ぶりと愛情に胸を打たれた。 と言う感想では表せないくらい、凄い感情で心を揺さぶられた。 お菓子工房、訪ねてみたい2024/03/12
yucono
0
コロナの頃、子供がYouTubeで紹介されているとみいちゃんのことを教えてくれた。色んな意味で子供に気付きを与えたようで、その後も今みいちゃんはどうしているかなど話題にしていた。今回偶然図書館で見覚えのある建物の表紙を見つけた。伝わりやすい文章だった。多くの苦労があったと思われるのに、批判をせず、心が折れることもありながら前に進み、愛情を持ち子供をどう活かし生かすかを模索する様子が綴られていた。以前どこかで子供は預かり物、社会に返すために育てると見聞きしたことを思い出した。2025/05/20