内容説明
岐路に立ち、惑う人々に贈る 喪失と再生の記憶。
この物語は、あなたの明日をやさしく照らす――
絵本作家として活躍する高城好子はかつて美弥子の継母だった。
漫画家のアシスタントを生業とする美弥子は、旅の誘いを受けて再会した好子が余命幾ばくもないと悟る。
共同制作したいという好子の望みを叶えるため、 “母”と“娘”は湖畔のホテルで絵本『あお』の構想を深め合う……(「青い絵本」)。
作家、編集者、セラピスト、書店員――さまざまな形で絵本に関わる人々が、絵本を通じて過去と対話し再生する姿を、静謐な筆致で紡ぎ出す。
表題作ほか全5話収録、短編の名手が、人生の光と影を描いた珠玉作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
278
桜木 紫乃は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。タイトルと頁数からほんわかした小説かと思いきや、少しビターな大人の絵本連作短編集、感涙作でした。 オススメは、『卒婚旅行』&表題作『青い絵本』です📘📘📘 https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-53867-9/2024/12/22
けんとまん1007
180
絵本の深さ・広がりには、果てしないものを感じている。年齢に関係なく、その時々のこころの状態によっても、読み取るものが、随分、違うことがある。そんな絵本を巡るものがたりであり、青い・・という2文字が、そのテイストを表しているのかもしれない。どこか寂しいようでいて、決して、それだけないものがある。ふっと、息を抜いてみるといい時がある。2024/12/22
いつでも母さん
170
帯には短編の名手が描くとあるが、桜木紫乃は長編も好いのよ(そこ?)桜木姐さんだから絶対にグサッとくるはずと期待して読んだ。絵本を通じて過去と対話し再生する姿ー短編5話どれも好い。本当にどれも良かったが3話目『鍵 key』から『いつもどおり』と来てラストは表題作『青い絵本』畳み掛ける順番も良い。多分、読むタイミングで感じ方は違うだろうが、私は今がその時だったのかもしれない。自分の心の鍵をそっと開けて誰かと語りたい。その相手はもしかしたら隣にいる人じゃない気がする・・(えっ?)2025/01/06
nonpono
165
今年は船旅をしたいのに桜木紫乃は「旅の手段が船なのは、その気になればいつでもふたりで海に飛び込めると思うからだ」(「なにもない一日」)という情景を見せてくれる。妻が痴呆症で縁が薄い娘を訪ねる旅路の中で。「絵本」を巡る五つの短編。帯より「短編の名手が描く人生の光と影」らしい。影があるから一瞬の光というものはああも眩しいのだろうか。ぽかぽかするのだろうか。冒頭の「卒婚旅行」がいい。作者の筆がラストスパートのように乗り出すとき、こみあげるものがあった。「ほら、みて」と、わたしもまた貴方にまた問いかけたくなった。2025/01/18
hiace9000
128
今作全体像を象徴する「フィクションで現実を透視する」の一文。過去と現在を繋ぐ絵本をモチーフに、静謐な筆致で喪失と再生を描く五短編。絵本セラピスト、ラジオパーソナリティ、作家の妻・書店員、作家、イラストレーター、女性主人公らの葛藤と迷いの末の決断は、読み手の多様な現実にも不思議と当てはまりながら優しく寄り添い、共感とともに心にポッと希望の灯を灯してくれる。一編読了ごとに温かな涙が満ち、心まで満たされていく。様々な節目となる3月という時期に、この作品と出会えた幸運! 抉らぬ桜木作品、黒ではなく青の桜木作品だ。2025/03/20
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