内容説明
ウォルト・ディズニー・コンサートホール、サントリーホール、札幌コンサートホールKitaraなど国内外の代表的なコンサートホールを手がけ、世界のマエストロが絶大な信頼を寄せる音響設計家・豊田泰久と音楽ジャーナリスト・評論家の林田直樹が「究極のオーケストラ・サウンドとは」をテーマに徹底討論。
「音がリッチであること。と同時に、音が明瞭であること。リッチなことと明瞭なことっていうのは、反対のベクトルみたいな感じがしますが、実際いいコンサートホールに行くと、両方が備わっているんですよね」
「アンサンブルがよくないとホールがうまく鳴ってくれないし、アンサンブルのクオリティが悪いままでもきれいに聞こえるホールなんてものはありえないわけですよ」
話題はホール音響を超えて、「オーケストラは〈密〉であるべきか」「弦楽器と管楽器の理想的なバランスとは」「指揮者はどうやってオーケストラの響きをつくるのか」などクラシック・ファンなら誰もが知りたいテーマにおよぶ。
豊田とともに理想のサウンドを追い求めてきたマエストロや建築家たちの個性あふれるエピソードも満載。
各章間に置かれた潮博恵によるコラムではホール音響の基礎知識や豊田のこれまでの仕事の数々を解説し、彼がなぜ特別な存在なのかを解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
55
面白かった。著者は、サントリーホールをはじめ国内外約70のホールの音響設計を担当した豊田泰久氏。音がリッチであること、と同時に音が明瞭であることの両方を備えたコンサートホールを作ることに邁進した音響設計者の話。アンサンブルが良くないとホールが上手く鳴ってくれないとの信念。合唱コンクールの全国大会で歌ったことのある札幌コンサートホールKitaraの音響設計をした人物とのことで、ヴィンヤード型(段々畑のような形のぶどう畑タイプ)の客席が印象的。指揮者がアンサンブルの調整役であることを改めて考えさせられました。2024/10/20
qoop
7
世界的な音響設計家に訊くオーケストラ、指揮者、建築家とのやり取り。ホールによって演奏法を変える必然性や、指揮者と演奏者の相性、音楽業界を超えたコンサートホールの建築としての意味など、幅広く奥行きのある内容が説得力高く語られた一冊。さらにいうと、指揮者、演奏者、あるいは大規模公共工事を担う建築家といった如何にも一筋縄ではいかなさそうなメンツを相手に渡り合う苦労を感じさせない語り口は、積み上げた信頼であると同時に、やはり人柄のなせるわざなのだろう。2024/09/22
Yodo
7
クラシック音楽専用ホールの音響設計を多く手がけられた豊田泰久のお話を本にしたもの。2000年代に活躍した指揮者に詳しければ楽しめる。指揮者とオーケストラの関係と音響の話が大半。ホールを新築して、オケの音を新しいホールに合わせられなくて首席指揮者を辞めちゃった人の話も出てくる。ホールに音を合わせに行く人の本能の部分もあるし、それが一人でなく全体で合わす必要で、指揮者の職人芸が必要という。ホールだけあってもただの箱。良い演奏と聴衆/地域が必要で、ありがたい光背のある指揮者の存在が、という結局指揮者大事。2024/05/05
どら猫さとっち
7
国内外のコンサートホールを設計し、指揮者やアーティストに絶大な信頼されている豊田泰久氏。彼が設計するホールの在り方、音響と音楽の関係など、ホールの仕組みからできるまでのことなどを語った一冊。コロナ禍のコンサート、これからのクラシック音楽業界についてにも言及する。行ったことのあるコンサートホールもあり、本書のことを思い出しながら、音響の世界に触れるのも一興では。2024/04/15
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4
前作のインタビューは人生概観や仕事ぶりが伺えるが、こちらの方が先生の音楽に対する意見が前面に出ている。技術の話もあるが子供の頃どうとかそういう話はなく、表題の通り。前作と被るところもあるのだが、思い出しがてら読めるのでそれはそれでいい。 シンデレラオーケストラ、短期間で超有名になったところ。 密に吹くオーケストラ。あとは、指揮者とオケで仲がいいのと演奏ができるのは違うのだな、と。2025/07/13




