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内容説明
平安時代の貴族は夢を神や仏のお告げと信じ、加持祈祷や陰陽道にすがったとされてきた。目に見えない「物」を怖れ、迷信や禁忌に囲まれていたと考えられていたのである。しかし、古記録からは、自らの利益実現のために夢を巧妙に利用した強かな姿が浮かび上がってくる。行成の『権記』では昇進要求に。道長の『御堂関白記』では政務や儀式をサボる口実として。彼らは夢をどのように捉えていたのか。知られざる精神性に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
84
イメージとして平安貴族は夢を神仏のお告げとして頼り、加持祈祷や陰陽道に縋ったと思っていた。が、古記録からは意外に冷静に対処し、「夢のもととなるような話を起きている間にしたせいだ」などと書き残している。ただ"「家族の夢見が悪いので今日の倉本先生の講義は休講です」などと言う羨ましい理由で休めたり、「雨が降っているんで物忌みします」と言う壮絶なおやすみの理由など、夢みたいな言い訳であるよなあと思う。実際にやった人はいるんだよ。その時代を出来る限り合理的に生きた人々の記録として面白かった。2024/11/15
Go Extreme
3
日本の古代人が見た夢 恵まれた日本の前近代の史料 歴史学の知識に基づいて解釈し直す 夢は神が人に語りかける手段 夢告げや託宣 夢は神意を持つと考えられ 自身の運命の予兆を夢に問う 虚偽の夢説話 日記の余白に夢を記す 夢を見た時刻によってその吉凶が異なる 物語の展開や人物の心理描写 作者の回想や願望が反映された創作 夢解き 物忌みや祈祷などの宗教的な行為 医学的な知識も活用して冷静に対処 人間の現実的な意志を反映したもの 夢の記録の仕方には個人差が大きく 男の世界の夢と女の世界の夢 夢語り共同体2025/04/11
はぢめ
1
二子玉川の文教堂で購入。平安貴族が夢にどれくらい神性を感じていたか。科学のカの字もない時代のことなので、夢見が絶大な影響をもっていたのかと思いきや、めざましテレビの今日の占いくらいの認識だった思われる──というのがおもしろい。おもしろいんだけど、膨大な文献を紹介している割に考察部分が短くて、結論だけ読めば十分な本だったかも。2025/12/17




