孔子復活 東アジアの経済成長と儒教

個数:1
紙書籍版価格
¥3,300
  • 電子書籍
  • Reader

孔子復活 東アジアの経済成長と儒教

  • ISBN:9784296001132

ファイル: /

内容説明

「中国人の生活や文化は、かつてないほどの危機に瀕している。中国が改革開放政策を導入したことで経済は発展したが、中国文化は依然として空虚なままだ。換言すれば、中国は自国文化と真逆な近代化を達成した唯一の国家だ。道徳基準は失われた。西洋では神が道徳基準を定めているが、中国に神はいない。人民の行状に対する道徳的抑制がない。(略)中国では、史上最悪な道徳的危機が迫っている。」(第10章「共産主義者としての孔子」から)

ここ数十年の急激な経済成長によって中国、台湾、韓国、シンガポールの東アジア各国、特に共産党が統治する中国と華僑の影響力が強いシンガポールでは、流入する欧米的価値観に対する防波堤として儒教が政治主導で復活している。
 従来、儒教の特質として孝の重視による親に対する従順さ、支配者や役人といった権威への服従、男性優位で女性を軽視する傾向などマイナス面が指摘され、克服すべき近代化への大きな障害とされてきた。
 そうした流れがここにきて一変する。国民が経済的に豊かになった反面、社会に道徳的基盤が失われた弊害が大きくなったからだ。権威主義国家である中国では、貧しかった頃は『毛沢東語録』で良かったが、近年は『論語』を教える学校が増えてきている。西洋的価値観に対抗できる道徳的基盤として、政府が孔子を積極的に統治のための利用しようとしている。
 著者はウォールストリート・ジャーナル紙ソウル特派員など務めたアジア通のジャーナリスト。孔子の生涯とその教えを辿りながら、時代とともに変遷する孔子像を描く。

目次

はじめに 孔子は世界をどう変えたか?
第I部  孔子が「孔子」になる
 第一章 人間としての孔子
 第二章 聖人としての孔子
 第三章 帝王としての孔子
 第四章 暴君としての孔子
第II部  孔子、家庭で心安まらず
 第五章 父親としの孔子
 第六章 教師としての孔子
 第七章 女性差別主義者としての孔子
第III部  孔子復活
 第八章 ビジネスマンとしての孔子
 第九章 政治家としての孔子
 第十章 共産主義者としての孔子
おわりに 孔子の実像を探して

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゼロ投資大学

3
およそ25000年前に孔子によって生み出された儒教の教えは、今も多くの人の中に根付いている。経済成長やグローバル化など世界が激動の時代にあっても、孔子の思想は色褪せることはない。2024/12/13

miu_miu

2
仏教は現世を生き抜くには合わないと思ってましたが、来世志向だからか。儒教は現実的で、都度為政者の道具とされてきたことが理解できました。孔子は存命中には評価されなかったのは性善説の故でしょう。乱世では使えない。統治が進むなかで価値が出てくるもの。毛沢東時代に破壊したのに鄧小平以来復活して共産党が推奨するのは民衆の不平の矛先を変えるためであるものの、利己主義にまみれて腐敗した中国社会にとっては必要な部分があるというのには同感。2015年の著作なので、現在の中国の落日と習近平独裁を反映したらどうなるか読みたい2024/12/28

竜玄葉潤

0
この本の内容で、復活するかは疑問だが、色眼鏡を外してくれる本。欧米人の色眼鏡はすこしあるが。2024/12/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22116966
  • ご注意事項

最近チェックした商品