内容説明
多様化が進み様々な意見が対立する今、政治的中立を求める声が高まる。しかし、「中立」とはどのような概念で、それを実践することは可能なのか。マックス・ウェーバー「価値自由」の受容と論争を辿り、「中立」の深層を捉え、「わかりあえない時代」の道筋を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まゆまゆ
12
報道などで言われる政治的中立性について、マックス·ウェーバーの思想から考えていく内容。価値と事実を分けて考えることで、対立する見解について自由に論じることができる。中立であるべき、という考え方を押し付けられても何も考えられず判断もできない。結果として分断を招いてしまってはいないか。2024/12/03
mokohei
3
野口のヴェーバー解釈から語られる、ある「判断」というのは、基本的に一貫してヴェーバーにより「他の議論もありえる」という形で一度否定され、それを考慮せよと要求しているものに聞こえる。これはある意味で相対主義的だが、それ自体の重要性は(学問的な意味では)理解できる。 しかし、このことでより正しい政治的判断を導こうとしているのであれば、この態度の有効性には甚だ疑問しかない。何故なら、この論法で政治的判断を阻害するだけで終始する可能性があることを我々は知っているし、野口も部分的にこのことを理解しているからである。2025/05/30
ほなみ
3
コンサルの仕事をしていて思うのは、中立に価値なんてないということ。 では中立とは何かと考えた時にそれは「意見がないということ」だと思う。 この本でも学問は中立(意見ではなく事実)、政治は偏るみたいな感じだと思う。 つまり、中立であることは意見を出さないということであり、相談される側としては何の意味もない。と私もの普段の考えと結びつけてみた。 だから中立な意見なんてものは存在しないのだろう。冷静に立場を見て自分はどこに立っていたいのかと意思を持つことが大事であり、そのために中立な学問があるのだと思う。2025/02/23
tetsuwo
2
中立も1つのスタンスである。その言葉には無条件で良いイメージを抱きがちだが、ときにあらゆる立場に対して暴力的な介入をし得る。また、中立なスタンスに基づく決定は、多方面への配慮から最もコストのかかる施策になるとも考えられ、やはり手放しに良いものとは言えない。ウェーバーは、価値は政治が判断するべきと述べた。ビジネスは日々価値判断の連続であり、つまり政治的な場である。その場にいる一人として、中立であることを目的にするのではなく、何を取り何を取らないかを丁寧に考えるようにしたい。2025/04/06
遊動する旧石器人
2
2024年10月25日第1刷発行。中立—特に政治的中立—について、マックス・ウェーバーの「価値自由(wertfrei)」から考えた1冊。ウェーバーのwertfrei;value-freeがどのように解釈され、評価されてきたかについて、系譜学的に見ることで、その時代や場所における状況によって差異があることが示され、相対主義によって支柱を失った現代日本社会の問題に迫る。結局、事実と価値の分離をウェーバーが求めたように、物事を分けて考えることが出来ない「一貫性」のドグマに現代日本社会は精神病的に飲まれている。2025/01/06




