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内容説明
江戸時代の「大都会」長崎。200年、全145冊の記録が明らかにする時代の素顔!
抜荷発覚を恐れて自害した犯人の死体を塩漬けで保存。死骸を磔/心中相手を刺殺するも自分は死にきれず、自首して斬首に/奉行所から障子を盗み出したところを見つかり死罪/漁師のはえ縄が引き上げた銀子から抜荷が発覚。犯人は全員死罪/偽銀作りで親が死罪・獄門。子どもは縁座で遠島/遠島先で人を殺して死罪/1人の女が3人の男と密通。女を巡って刃傷沙汰を起こした男2人は刎首獄門、もう1人の男は陰茎切、女は鼻そぎ/密通相手の男を斬殺した夫はお咎めなし。密通した妻は死罪。
目次
序章 江戸時代の「リアル」を知る
第一章 長崎における「罪と罰」
第二章 人間模様さまざま――酒、男女の仲、喧嘩口論
第三章 犯罪者たちの素顔
第四章 法をくぐり抜けようとする者たち――「抜荷」を事例に
第五章 「隔離」された人びと
終章 「犯科帳」とはどんな史料か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
qwer0987
11
江戸時代唯一の国際港長崎は犯罪の多い都市でもあった。それは海外物品転売の目的での抜荷が多かったことや質屋に対する法規制の緩さもあったのだろう。そうしてそんな背景事情が割れ窓理論ではないが、犯罪を惹起したのかなと想像する。ともあれ江戸時代と現代の価値観の差には驚いてしまう。江戸時代は監視社会で、無宿人となれば差別されるし、死罪へのハードルは低く、人権もかなり制限されていた。そんな息苦しさも犯罪の多さの要因かもしれない、と素人目の現代人には見える。犯罪の詳細の羅列が読みづらかったが、勉強にはなった2025/05/26
fseigojp
11
海外貿易というのは、やはり旨味が大きい2024/11/09
みのくま
9
江戸時代の長崎犯科帳から、当時の犯罪や人々の生き様を紹介する。また長崎は特殊な土地柄で、海外の人々や物品と密接に関わっており、それに関する犯罪も多い。本書を読むと抜荷と呼ばれる密貿易や、外国船に不用意に近づいたりして捕まっている様子がよくわかる。現代では江戸幕府の鎖国政策について見直しが行われているが、他方で江戸の庶民達はまた異なる印象を持っていたのではないかという気がする。少なくとも長崎においては、海外との接触はかなり制限されているという認識はあっただろう。また密貿易品として高麗人参が頻出するのも面白い2025/12/14
すのさん
8
貿易都市・長崎では「抜荷」が絶えず、江戸幕府も取り締まりに苦慮していたようである。抜荷は死罪にもなりうる重罪だったが、換金の容易さや儲けの大きさが庶民を惹きつけた。現代の闇バイトにも通じる構造がある一方、当時は犯人の地縁や職縁を通じて連帯責任が課され、地役人まで処罰対象となった点は大きく異なる。犯罪者を共同体が背負う時代において、地域の統治責任がいかに重かったかがよくわかる。開放的な都市性格を持つ長崎の犯罪録から、より閉鎖的な他地域ではより監視的な地域社会が広がっていたのではないかと推測される。2025/05/15
つかず8
6
オーディブル。犯罪録はその時代の世相を映す鏡と書かれており、共感した。本書は江戸時代の長崎の犯罪記録である犯科帳に記載された内容を紹介しているものである。割と事例紹介の趣旨が強く、若干飽きてしまったが、もっと感性が高ければ更に面白く読めたとも思う。当時の長崎は唯一貿易が許された港があり、人の流通の多い一大都市であった。その為、犯罪も多かった。当時は死罪の中にも重み付けがあり、埋葬されない事や市街に晒される、磔などの残酷な死に方といった種類があった。基本は過去の判例を参考に罰則を決めているのは、現在も同じ。2025/10/31
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