内容説明
「ナポレオンの軍歴について書かれたどの作品よりも優れている」
フランス大統領 シャルル・ド・ゴール(著者に宛てた手紙のなかで)
「ナポレオン戦争について今後これ以上のものが現れる可能性はない」
デイリー・テレグラフ紙(著者の追悼記事のなかで)
1793年のトゥーロン包囲戦から1815年のワーテルローまでのナポレオン自身が参加した会戦を戦略・戦術的に分析した、現在に至るまでナポレオン戦争について書かれた最も体系的・網羅的な書籍で、まさにナポレオン戦争の「バイブル」として名高い世界的名著『The Campaigns of Napoleon』。待望の翻訳復刊!
巻末の付録には主要会戦の各国の戦闘序列や、グランド・アルメ(大陸軍)の時期別の編制表、用語解説などが収録されており、史資料としても重要。また軍事面だけではなく、革命期から帝政期にいたる政治外交面についても詳述しており、この時代についての通史としても価値ある書籍となっている。
※上巻にはナポレオンの生い立ちからティルジット条約までを収録。
◆本書は2002年に信山社から翻訳刊行された『ナポレオン戦争 欧州大戦と近代の原点』(全5巻)を翻訳の見直しと図版の修正を加えて全2巻(上・下)に再構成したものである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
18
前から読みたかった本なので、復刊は嬉しい限り。今となっては否定された部分もあろうが、ナポレオンの軍事行動を一通り知りたければ、やはり読んでおくべき金字塔だろう。指揮系統の統一、戦力の集中、素早い行軍と将軍ナポレオンを特徴付ける部分をしっかり学べる。面白いのは著者をしてナポレオンは軍事の革新者ではなく、むしろ既存の軍事技術を極限まで高めた「完成者」であるというところ。テュレンヌやフリードリヒ大王ら先賢から学び、グリホーバルやカルノーら先人が築いた軍を率いて戦った。稀代の英雄も時代の突然変異ではないのだ。2025/03/02
TI
5
伝記というより本当に戦記(題名が戦記なんだから当然といえば当然だけども)。地図もついているんだけども馴染みのない地名と軍の配置の地図でよくわからなかった。 ナポレオンは24歳で將軍、27歳でフランス軍総司令官になっているとは驚き。時代が王政後の不穏の時代としてもすごい。2025/05/19
鏡裕之
2
比べる対象がよくないのだけど、『日本カルチャー史』の差を感じてしまった。両者ともに縷述、つまり細々と細かく記してあるのだけれど、本書の場合は向かうところ、狙うところがハッキリしていて、ブレていない。さすが名著。2024/10/12
タカバル
0
ナポレオン戦争に関してこれだけ体系的・網羅的に書かれた本はないと思われる。ナポレオンはもちろん、彼と共に戦った元帥・将軍・兵士の物語は一種の作品のようにも感じられた。この名著が日本語で読めたことに感謝したい。2024/11/20