内容説明
『食堂かたつむり』で「食べること」を通して、『ライオンのおやつ』で「死にむかうこと」を通して「生きること」を描いた小川糸が描き出す、3つめの「生」の物語。愛することは、生きること――苦しい環境にあり、人を信頼することをあきらめ、自分の人生すらもあきらめていた主人公が、かけがえのない人たちと出逢うことで自らの心と体を取り戻していく。勇気を出してお弁当屋さんのドアを開けたことが彼女の人生を変えていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やっちゃん
247
女性の凹凸に対する嫌悪と理想がよくわかる。男性とは似て非なるものかな。スピリチュアルな部分は苦手だからイマイチのれなかった。男で料理が上手いってカッコいいよね。全然関係ないけどオリジン弁当大好き、地方に進出してほしい。2025/09/01
のぶ
242
今までの小川糸さんの作風を受け継ぎつつ、内容は新しい世界だったような気がする。本作の主人公、小鳥は両親の影響で人を愛することに抵抗があった。そして中学時代心を通わすことができた親友の不幸と、養護施設での出来事により、人を愛することにトラウマを抱えてしまう。そんな小鳥があるお弁当屋、理夢人と出会ったことで、愛することの素晴らしさを思い出すという物語。前半のつらい環境での描写は読んでいて苦しかったが、後半の理夢人との恋愛の世界は良かった。人が幸せを求め叶えて行く経過が、読んでいる側にも伝わって来る。2024/10/30
hirokun
241
★4 小川糸さんの作品を読むのは二冊目だが、前回の作品と同様に読後感の良い作品だった。人生の前半期において、様々な苦痛を経験した少女が、人と触れ合う中で生きることの喜びを感じられる様に成長する有様を描いた作品だが、実に温かく優しい気持ちにさせてくれる。若いころはあまり感じたことがなかったが、今生きていることに感謝できる気持ちになれる様に日々過ごしていきたい。2024/11/16
Karl Heintz Schneider
219
「私はそれまで、世界は屈強な鋼みたいなもので作られていると思い込んでいた。理夢人と出会ってから世界を柔らかいと感じる場面が多くなった。」不遇な少女時代を過ごし、人生に何の希望を持てずに毎日を送っていた30歳の小鳥。そんなある日、弁当屋の店主・理夢人(リムジン)と出会う。それまで無色に見えていた彼女の人生はその瞬間カラフルになった。前半は彼女の身に起こったことが淡々と綴られている。それを読むのは正直辛かった。でも後半、理夢人と出会ってからは一転明るい色調に。このあたりの展開は「とわの庭」に似ていると思う。2025/02/06
うっちー
208
小鳥とリムジン、これからますます幸せになってください2025/03/13




