内容説明
SNSで話題となった著者の父のスケッチブックを題材に、戦中~戦後を生き抜いた父親の姿と、激動の時代を活写。イラスト多数収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
65
また、戦争に関連する作品を手にしてしまった。どの作品を読んでも、二度と繰り返してはいけないことだという思いは変わらない。むしろその思いは強くなる一方だ。小手鞠るいさんのお父さんの漫画は、コミカルに見えて、その時の現実を描いているから、その価値は大きい。私の父は、戦争の話は全くしてくれなかった、無言でいることもその苦しみを感じ取ることができる。この悲惨な歴史が再び起きないことを祈るばかりなのだが、足音が近づいているようにも感じられる。2024/11/26
あじ
23
父直筆のスケッチブックがある。今出版しないでいつ出す!?娘の小手鞠さんが実行しなければ誰が世に送る?御年90歳を超える父の、戦中戦後の人生スケッチを自身の記憶とともに紐解いていくエッセイ。近年は恋愛小説のみならず、戦争小説、海外暮らしの自然エッセイ、そして児童書にまで筆をふるうようになった心境を知るとともに、父娘の関係性を客観的に見つめる姿に頬が緩んだ。小手鞠さんが古希目前になって手繰り寄せた、父の歩み。私たちは耳を傾けるべきなのだ、先人の生きた言葉を。心象を。拓ける小手鞠さんのフィールドを注視していく。2024/10/28
ヒラP@ehon.gohon
21
父親、川滝喜正さんのスケッチブックと小手鞠るいさんの自分史をコラボレートしながら、私と同時代感覚の昭和史になっています。 懐かしくもあり、つい昨日の出来ごとのようでもありました。2025/01/05
朗読者
19
漫画家、、、の一歩手前くらいだった小手鞠さんのお父さんのスケッチブックでたどる昭和。昭和20年6月の岡山空襲に始まり、昭和53年4月の娘の就職先紹介までが、プロ顔負けの漫画とお父さんの言葉で綴られている。戦争体験から、天皇に、日本に、裏切られたという思いの強さが強烈に響いていた。源氏物語が大嫌いで、夏目漱石が大好き。東京裁判のデスバイハンギング。戦争反対者の広田弘毅さんが巻き添えで絞首刑にされたことは知らなかった。落日燃ゆを読まねば。2025/03/27
たっきー
15
著者の父(満州事変の起こった昭和6年生まれ)が残していたスケッチブックのイラストとそれにまつわるエッセイ。市井の人からみたその時代の様子がよくわかる。特に戦争の時代の記録は貴重。すでにこの父のスケッチブックをもとにした『川滝少年のスケッチブック』等出版されているようなので、それらも読んでみたい。2024/10/12