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内容説明
発達障害の観点から小説版ムーミン・シリーズを読み解いた、全く新しいムーミン評論! 登場するキャラクターはみな自分勝手で、てんでバラバラなのに、ムーミン谷ではみんなが仲よく暮らしているのはなぜなのか。はみだしている人たちのために書かれたというムーミン・シリーズの新たな魅力を見いだし、ムーミン谷のように、誰もが住みよい世界をつくるヒントに満ちた1冊。作品の奥深さ、トーベ・ヤンソンの才能の素晴らしさがより多面的にわかる。
目次
1 ムーミン誕生!
2 シリーズ初期
3 シリーズ中期
4 シリーズ後期
コラム「ぴったりの居場所がない人のために」畑中麻紀
5 補足的視点
コラム「大人のテーマが描かれている(ように僕には思える)ムーミン・シリーズ」二村ヒトシ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shikashika555
44
うううむ。 ムーミンのキャラクターをニューロマイノリティとみての解説の数々。 初めてムーミンシリーズを読んだ時に、登場人物皆が何か病名がつきそうだなあと感じた。 そして「べてるの家」を連想した。 こんなに問題を抱えてそうな人達が、問題を抱えたまま何故か平和にやっていけてることへの驚き。 やはりそういう読み方をしている人は少なくないのだろう。 この世にムーミン谷はあるのか。 外の世界と繋がった時、ムーミンたちはどう生きるのか。 色々と考えてしまう。2024/11/25
tonpie
36
ちびのミイはいつでも、自分ひとりでたのしむことを知っていました。自分がなにを考えようと、春がどんなに好きだろうと、それを人に話す必要を少しも感じなったのです(以上引用「ムーミン谷の冬」) 。著者は40歳の時に「自閉スペクトラム症」「注意欠如多動症」と診断された文学研究者(京都市立大准教授)です。そのような、「ニューロマイノリティ」(脳の少数派?!)の視点から文学作品を批評することを「当事者批評」というそうですが、その方法論でトーベ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズを1冊ずつ丁寧に批評・評価していきます。↓ 2025/04/09
紫羊
17
こういう読み方もあるのかと驚いた。多様性という面からムーミンの世界を眺めることにとらわれすぎているような居心地の悪さがあった。かえって閉じられた印象を持ってしまった。子どもの頃からムーミンの世界を私なりに大切にしてきたので、ムーミンはあなたたちだけのものではないという、子どもじみた反発もあったのかもしれない。2025/07/11
コニコ@共楽
11
題名が長い。ムーミン・シリーズに登場するものたちの言動、そしてその世界を創造していったトーベ・ヤンソンさんをニューロマイノリティ的に分析していくという評論。こだわりのふるまいや、放浪癖、ひどく内省的な性格など、誰にでも時としてみられる言動のものたちがムーミン谷という場所に集まってきてなんとなく仲良く暮らしている様がムーミンの物語の魅力だと思う。ちょっと変なものたちはいい意味で肯定的に生きている気がする。巻末の精神科医、斎藤環氏の創造性を発揮した自閉症の人が強いレジリアンスを有していたという言葉にうなずく。2025/08/23
miu
10
発達障害の観点で読み解くムーミンの世界。かなり興味深い内容。トーベ・ヤンソン自身もニューロマイノリティだったのではという仮説。そうするとムーミンたちの言動の意味がより理解できる。これはもう一度ムーミンを読み直したくなる。2024/12/08