内容説明
やむを得ない事情で、殺し屋の遺体運搬係となった日置学。浅木というその男の指示のもと、遺体を見捨てられた別荘地の奥に埋めてきたが、そこもそろそろ手狭だという。裏社会では、学の祖母の出身地にある山に遺体をこっそり処理できるという噂があり、浅木に命じられた学は恋人の夢花と共に、祖母が六十年以上前に出たきりの山奥の集落を訪れるが……。集落の神社で祀られている山の頂では、御神体とされる巨石と地面に刺さる無数の風車が異様な雰囲気を纏い二人を誘う。一度は東京に戻った二人だが、山に心を囚われた夢花を救うために学は再び彼の地に向かう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
168
死体運びの手伝いを強要された青年の恐怖を描く犯罪心理小説として読み始めたら、次いで祖母の故郷に伝わる死体隠しの山という伝奇物の色彩を帯び、最後は完全なゴーストホラーと化す。複数のテーマを組み合わせて一編の作品に仕上げるパターンが、国産ホラーでは最近よく見かける。悪いわけではないが、さくさく読めてしまうためか長編ではなく連作中編集に思えて、中途半端で終わった感が拭えない。この2~3倍ほどの分量で、それぞれのドラマや過去の恐るべき伝説を詳細に書き込んでほしかった。あっさりした恐怖は物足りなさしか残さないのだ。2024/12/23
ちょろこ
115
山ホラーの一冊。初読み作家さん。お山が手招きする一気読みホラーは序盤からブルブル。ごく普通の大学生の青年とその祖母がある日強盗に襲われた。命は助かったものの、理不尽な要求からの本格的なホラーへと転落していく囚われアリ地獄が酷過ぎる。小さな山の集落、忌まわしい因習の雰囲気は良いけど、この仕事にげっそり。果たしてこの地獄から抜け出せるのか…。要所要所の描写、渦巻く霊や念に対する思想は興味深く読ませてくれた。そしてやっぱり一番怖いのは生きている人間なんじゃないかしらとも。不気味な描写に思わず顔がひきつるラスト。2024/11/25
モルク
106
弱味を握られ死体処理の運搬係をすることになった学。その処理場として最適だったのが祖母の故郷、そしてその地を訪れた学と恋人。霊感が強く山にとりつかれた恋人の呪いを解くため山にある神社へ…。土葬が残る因習の村、祖母の秘密、山に捨てられた者の怨念…様々なホラー要素溢れる。学が主人公のはずが途中から恋人にチェンジ。現代の闇と過去から続く闇が交差する。そして恋人を守ろうとする学の強い思い。怖さはなかったが、幽霊は死後の魂ではなく生きている人間が生み出した生き霊という解釈に思わずほほうと唸った。2025/02/17
タイ子
99
全てがホラー尽くしなのかと思いきや、そこにヤクザな世界に生きる一人の男がいる。その男の餌食になった20歳の大学生とその祖母、そして彼の恋人。餌食と言っても殺されるわけではなく、ある弱みを握られ男の言いなるになるしかない状況に。祖母には昔々の誰にも言えず1人胸の中に秘めていた秘密がある。ある村の山に埋もれた数知れない人骨。彼らは待っている、次の人間を。祖母が抱える秘密の裏に村人たちの悪しき風習と怨念。孫は闘う、恋人のためにヤクザな男と死をかけて。仏は神さえ抑え込むのか。理不尽な世界と愛をホラー化した物語。2024/12/30
ma-bo
91
朝倉さんはあめつちのうた、サクラの守る街、エール等を読了済。本作は既存の作品と一転したホラー色の強い内容だった。ある事情で、殺し屋の遺体運搬係となったマナブ。マナブの祖母の出身地には遺体をこっそり処理出来ると裏社会で噂されている山があるという。怖さより因習、民俗感が前面に。感想は難しいなぁ。「お山の腹を満たすために、遺体とその魂が必要です。」2025/02/03
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