内容説明
天国までの道の途中に佇む写真館。ここには、訪れる死者の人生が写真に収められ保管されている。
ここで死者は、人生を振り返りながら、自分が生きた年数だけの写真を選び、自らの手で走馬燈を作るのだ――。
そんな人生最後の振り返りの儀式を手伝うのは、写真館に来るまでの記憶をなくした青年、平坂。
九十二歳の老婆が選んだバスの写真、四十七歳のヤクザが選んだクリスマス・イブの写真、
そして七歳の子どもと笑顔を浮かべる青年の写真。
「たった一日ではありますが、過去に戻って、一枚だけ写真を撮り直すことができます」
と平坂は言い、訪れた死者をそれぞれの過去へと誘う。
記念すべき日のあの時に戻り、思い出の写真を撮り直しながら、彼らは人生の最期に何を想うのか。
そして平坂に訪れる、悲しくも優しい結末とは……。3つの物語が紡ぎ出す、感動のミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
193
生と死の中間地点として存在する写真館の話!あの世へ行くために走馬燈を作る、そんな写真館を一人で仕事をこなす平坂さんが、なんとも、優しく穏やかでした。どんな死者も柔軟に柔らかく受けとめ、懐の広さを感じますね。自分が死後、これが事実としたら平坂さんに走馬燈を作ってもらいたいですね。いつまでも余韻にひたれる素敵な物語でした。2019/05/20
ちょろこ
113
この本、好き、の一冊。あの世とこの世の狭間に佇む写真館で、死者は案内人の導きにより希望する過去へと一度だけ戻り人生の写真で走馬灯を作ることができる。心に温かさがじんわり届く物語だった。あの時への時間旅行で自分を形作った思い出を大切にする姿も自分の選んだ分かれ道の結果を噛みしめる姿も良い。ハツ江さんが言葉を贈るシーン、言葉だけでは見えない思いが溢れているようなねずみくんのラストシーンがたまらなく好き。まさかの悲しい展開を優しさで包み、謎が明らかになる第三章には涙。あぁ、この本好き、その思いで満たされた。2019/07/27
モルク
81
あの世とこの世を結ぶ写真館。まだ自分の死に気づかない死者が、年の数だけ写真を選んで自らの手で走馬灯をつくり、動かす。走馬灯の動きが止まるとあの世へ旅立つ。そんな写真館の守り人平坂と死者たちとの短編集。最後に3編が絡み合い繋がる。人生の最後に走馬灯の写真を選べたら、安らかにあの世にいける気がする。2019/04/25
ポチ
66
あの世への案内人と一緒に、自分の記憶の写真を選びながら走馬燈を造る。優しく温かく導いてくれるこんな案内人に会えたら幸せな気分であの世に行けそうだなぁ。しみじみといい作品ですね。2019/10/19
ままこ
66
人生の終わりに立ち寄る不思議な写真館。大切な思い出。記憶に残るあの光景をまた見てみたい…その場面を写真を撮ることを条件に過去へと一日だけ戻れるという。第1章、苦難を乗り越えながら勝ち得た宝を守る場所。実話をベースにした清々しく心温まる話。とても印象深かった第2章、ねずみくんの話は心打たれた。第3章、意外な繋がり。あぁ…そういう事だったんだ。切なくじんわり胸が熱くなる。どの章もラストシーンに感慨深い余韻が残る。切なくも優しく思いやりに満ちた良い作品だった。2019/09/19
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