人殺しは夕方やってきた

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人殺しは夕方やってきた

  • ISBN:9784863856219

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内容説明

山の中で一人、壮絶なサバイバル闘争を繰り広げる女性を描いた長篇小説『壁』で世界を震撼させたマルレーン・ハウスホーファー。多くのフェミニスト、作家たちに影響を与えた彼女の、短篇小説名作集がついに邦訳!

山の中でたった一人、壮絶なサバイバル闘争を繰り広げる女性を描いた長篇小説『壁』で、世界を震撼させたマルレーン・ハウスホーファー。
多くのフェミニスト、作家たちに影響を与えた彼女の、知られざる短篇小説名作集がついに邦訳!

西崎憲さん(作家・翻訳家・音楽家・「惑星と口笛」主宰)賞賛!!

ここが抒情の終着点 先はない
なんというみずみずしさ。本からこぼれだすのは、少女や友達、家や風景、おもしろい夢をみる女性や人を殺してしまった男性たち。永遠は子供の形で現れ、細部は不可知を囁く。マルレーン・ハウスホーファーはドイツ語園で最良最高の抒情を達成した。

収録作はオーストリアの村で生まれ育ったマルレーン・ハウスホーファーの少女時代を彷彿させる。共に暮らした人々や動物たち……そして、平和な暮らしを一変させる戦争の影。
文学ムック「たべるのがおそい」vol.4収録の「さくらんぼ」「雌牛事件」「フォン・ガイエン氏の夜の出逢い」ほか、かなしみにユーモアをまぶした切なく心あたたまる作品集。

【著者】
マルレーン・ハウスホーファー
1920年生まれのオーストリアの作家。ウィーンとグラーツの大学でドイツ文学を学び、夫と二人の子どもとともにシュタイヤーで暮らし、1970年に亡くなった。オーストリア文学史における非常に重要な女性作家の一人とされる。シュニッツラー賞やオーストリア国家賞(文学部門奨励賞)を受賞している。没後、代表作『壁』が世界的に有名になった。

松永美穂
翻訳家、早稲田大学文学学術院教授。ベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社)の翻訳で2000年に毎日出版文化賞特別賞受賞。カトリーン・シェーラー『ヨハンナの電車のたび』(西村書店)で2015年日本絵本大賞翻訳絵本賞受賞。そのほかヘルマン・ヘッセ『車輪の下で』(光文社古典新訳文庫)やインゲボルク・バッハマン『三十歳』(岩波文庫)など。

目次

1 少女時代の思い出
美しきメルジーネ
ぞっとするような話
雌牛事件
さくらんぼ
初めてのキス
おばあちゃんが死ぬ
ドラゴン
懺悔

2 大人の生活
小さな幸せ
人殺しは夕方やってきた
日曜日の散歩
おもしろい夢を見る女性
ミルテの木、もしくは軽率なマティルデ
フォン・ガイエン氏の夜の出逢い
お話
とりわけ奇妙な愛の物語
人喰い

3 戦争の影
クワガタムシ
司令官の死
一九四五年の春
国家の反逆者
間借り人たちのクリスマス
恐るべき忠節
ウィロー夫妻
変身
もろびと声あげ(イン・ドゥルチ・ジュビロ)

訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

107
「人間にはどこかおかしなところがあるものよ。ひょっとしたら人間はみんな狂っていて、あなただけがまともなのかも」。不思議な愛おしさに包まれる読み心地を味わえた作品集だった。つい次の篇へ次の篇へと物語を読み耽ってしまう感覚。少女時代の無分別な無邪気さ、それは大人の目から見た世界へ変化し、やがて戦争のやるせない現実が覆いかぶさる。日常の中で見せる人間の機微、滑稽さ、そして人生って奴のどうしようもない切なさ。それでも子育てと執筆の話に著者の姿が垣間見えるように人を描写する歓びが伝わってきてそれが魅力に感じられた。2024/06/13

天の川

58
表題はミステリーを想起させたが、実に魅力的な短編集だった。『少女時代の思い出』では不遜で瑞々しい感性の子ども達に懐かしさや憧れを抱き、『大人の生活』ではちょっと変わった大人達の戸惑いや行動に可笑しみを感じた。そして『戦争の影』でのオーストリアの作家ならではの目線で描かれる無力感や戦争の残酷さ。人生を歩む中でいつの間にか背負わされていく重さを、様々なシチュエーションで描き出す滋味深い一冊。学校に呼び出された父にぶたれると怯えながら過ごした一日の終わりに、父の大きな愛情に触れた「さくらんぼ」が特に心に残った。2024/08/18

のりまき

29
不穏なタイトル、怖いお話かと思ったら美しくてホワホワするような、少女時代の思い出。が、後半は暗く恐ろしい戦争の影。それも含めて瑞々しく叙情的で素晴らしかった。2024/05/09

M H

24
「壁」がとても気になるも入手できずこちらを。瑞々しい少女時代から大人の生活、最後は戦争の影。表題作や「とりわけ奇妙な愛の物語」のような人間の不可解な側面を見据えた収録作が通り過ぎてしまいそうで、塞がることのない穴を感じさせて特に良かった。戦争が題材になると重苦しさが漂い、掉尾を飾る「もろびと声あげ」の余韻につながる。2025/01/27

kero385

20
お気に入りに登録させていただいている方の感想で知った本。10ページ前後、長くても20ページに満たない掌編と言っていい長さの作品を集めた短編集。文体も短く簡潔であるにもかかわらず、人生の一齣の何気ない出来事が、大きな意味を予感させる含みを持って描写される。長年ドイツ語圏の小説読んできたけど、はじめて知った作家。と言うよりドイツ語圏の女性作家あまり知らなかったかも。知っている女性作家は政治的イデオロギーが強烈な方達ばかりで、この短編集のような味わいはすくなかった(もっとも私が読んでる数が少ないのだが)。2025/01/11

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