内容説明
両親の遺品にあった若き日のラブレター.そこには息子として知る母ではなく,のびやかに想いを綴るひとりの女性がいた.大正十年,ピアノを学ぶ多喜子は,やがて高名な哲学者となる京大生の徹三と出会う.朝な夕なに手紙を交わし,気持ちを確かめあうふたり.そして,時を経ての愛の行方.珠玉の往復書簡集.寄稿・内田也哉子.
目次
写真・家系図
手紙 大正十(一九二一)年八月~十二月
手紙 大正十一(一九二二)年一月~十二月
手紙 大正十二(一九二三)年一月~七月
三十年後の手紙(多喜子から徹三へ)
「母の恋文」あとがき(谷川俊太郎)
岩波現代文庫版あとがき(谷川俊太郎)
解説にかえて──谷川さんへの手紙(内田也哉子)