内容説明
ドストエフスキー文学の翻訳・研究者として名高い著者の自伝的エッセイ.少年時代に初めて『罪と罰』を読んだ時の衝撃から学生時代の文学サークル体験,ロシア留学時のスパイ容疑事件,プーシキン・メダル授賞式など,自らの人生のエピソードにドストエフスキーの作品世界が重ねあわされながら語られる.(解説=野崎歓)
目次
プロローグ
Ⅰ 「父殺し」 の起源
アイデンティティ・クライシス 二〇〇八年十月,モスクワ
「誕生」 の瞬間 二〇〇七年二月,モスクワ
「根源」 という糸 二〇〇一年九月,ザライスク
シャーマンの声 二〇〇一年九月,チェルマシニャー
「黙過」 と 「憐憫癖」 二〇〇九年一月,東京
無意識の回廊 二〇〇九年一月,東京
「出会い」 の原点 一九六三年八月,宇都宮
もうひとつの親殺し 一九五七年二月,宇都宮
文学少年 一九六六年十月,宇都宮
Ⅱ 激動の青春
「地下室」 の記憶 一九六八年五月,東京
ロマンティストの無残 一九六八年六月,東京
感傷家の恋 一九六八年八月,宇都宮
裏切り者 一九六八年十月,東京
実存主義を疑う 一九六九年十月,東京
Ⅲ 『罪と罰』体験
再挑戦 一九七〇年九月,宇都宮
「意志の書」,「運命の書」 二〇〇九年四月,東京
傲慢,または生の証 二〇〇九年四月,東京
世界が終わる夢を見る 二〇〇九年四月,東京
王宮橋からの眺め 二〇〇九年五月,サンクトペテルブルグ
一億倍も醜悪なこと 二〇〇九年四月,サンクトペテルブルグ
ホテル 「サン・ラザール」 二〇〇九年五月,パリ
Ⅳ 甦る 『悪霊』
三島の死 一九七〇年十一月,東京
唯我論者 一九七一年四月,東京
霧の彼方の地獄 一九七二年一月,東京
決 別 一九七二年三月,東京
Ⅴ ウリヤノフスク事件
プーシキン・メダル授章式(一) 二〇〇八年十一月,モスクワ
事件の発端 一九八四年八月,ウリヤノフスク
尋 問 一九八四年八月,ウリヤノフスク
社会主義の神 一九八四年八月,ヴォルゴグラード
恐怖の帰路 一九八四年八月,ハリコフ
甘い傷の疼き 一九八四年九月,ナホトカ
プーシキン・メダル授章式(二) 二〇〇八年十一月,モスクワ
Ⅵ カタストロフィ
「怒りの日」 二〇〇一年九月,ロンドン
汚れた青空の下で 一九七六年八月,セミパラチンスク
健やかな午睡 二〇〇九年八月,広島
決 壊 二〇〇九年六月,東京
「わたしは恥ずかしい」 二〇〇九年十月,郡山
四十六の瞳 二〇〇九年十月,松山
チェチェン戦争の影 二〇〇八年二月,モスクワ
二十世紀末の 「邪宗門」 一九九五年三月,東京
還暦の太宰 二〇〇八年一月,東京
小説に挑戦する 二〇〇〇年一月,東京
瓦礫のなかの 「四次元」 二〇一一年七月,釜石
Ⅶ ロシアの幻影
三つの類 二〇〇八年七月,サンクトペテルブルグ
グーグルアースの七百三十歩 二〇〇八年七月,サンクトペテルブルグ
「空間を貪り食いながら」 二〇〇三年十一月,スターラヤ・ルッサ
「過去」との別離 二〇〇六年一月,モスクワ
ロシアヘイトの根源 二〇一四年九月,チェルノブイリ
神隠し 二〇一八年八月,パーヴロフスク
幻想の 「吊り橋」 二〇一八年八月,トヴェーリ
去勢派とバフチン 二〇一八年八月,オリョール
Ⅷ ヨーロッパの幻影
絶対愛への羨望 二〇〇二年十二月,ドレスデン
神々しいゲルツェン 二〇〇九年九月,東京
楽園喪失 二〇〇四年一月,バーゼル
ドナウの黄昏 二〇〇四年九月,ベオグラード
「パリの奇跡」 二〇〇四年一月,パリ
最高に冷静な読者 二〇〇四年三月,ロンドン
裁ち割られた書物 二〇〇四年三月,ロンドン
ロワ墓地,または苦い後味 二〇一九年十二月,ジュネーヴ
ナボコフの呪い 二〇一九年十二月,ヴヴェイ
まひわの聖母 二〇一九年十二月,フィレンツェ
水の迷宮 二〇一九年十二月,ヴェネツィア
「黄金」 の時 二〇一九年十二月,ヴィースバーデン
Ⅸ ひそやかな部分
続編を空想する(一) 二〇〇七年八月,東京
続編を空想する(二) 二〇〇七年九月,東京
許されざる者 二〇〇五年五月,新宮
犬殺しのミステリー 二〇〇七年三月,東京
罪なきものの死 二〇〇八年三月,東京
父の 「実像」 二〇〇九年二月,東京
甦る 「カフカ」 二〇〇九年十二月,成田
絶滅収容所(一) 二〇〇九年十二月,プノンペン
絶滅収容所(二) 二〇〇九年十二月,プノンペン
「水死」 の記憶 一九六一年八月,宇都宮
「仏作って,魂入れず」 二〇一三年八月,ロンドン
語られざる何か二〇一四年五月,山形
Ⅹ 新たな旅立ち
十年後のマンハッタンにて 二〇一一年八月,ニューヨーク
月桂樹とレモンの香り 二〇一六年六月,セヴィリア
虐殺の匂い,柘榴の香り 二〇一六年六月,グラナダ
魂の成熟 二〇一九年七月,ボストン
AI時代のバッハ 二〇一九年八月,東京
「喜々津よ」 二〇一九年十月,島原
虚しい抵抗 二〇二〇年二月,名古屋
一匹の蝶の羽ばたき 二〇二〇年五月,名古屋
死の謎 二〇二一年五月,東京
エピローグ
魂の地図 あとがきに代えて
解説(野崎 歓)
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