内容説明
「ここではないどこか」を求めて――。
単なるバズワードでは終わらない、既に側にある革命的技術・メタバース。
私たちは何を求め、何を叶えようとしているのか。
「人間」と「現実」の関係を問い直すことで見えてくる、未来の正体。
哲学的視点から光をあてなおす、「今さら」ではない、まったく新しいメタバース論。
メタバースは、「もう一つの現実」なのか?
メタバースにおける「私」は、物理空間の「私」と同一なのか?
メタバースにおいて、「他者」との関係性はどうなるのか?
メタバースにおいて、人間同士の共同体は成立しうるのか?
メタバースは、現実世界とどう関わっていくのだろうか?
哲学的「問い」が導く答え――メタバースとは、何なのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ああああ
4
メタバースと物理空間の融合は、そこに存在する事物の歴史性を感じることを、私たちから妨げるだろう。それによって、私たちは、共同体の成員が、同じ事物を多様な観点か眺めているというリアリティを感じられなくなっていくだろう。その帰結として立ち現れるのは、「私」以外の世界の眺め方を許容できなくなる態度、物事に対する視点の多様性を拒絶する態度に他ならないだろう。 このような仕方で、仮想空間と物理空間の融合は、ポストトゥルース的な状況を深刻化させるだろう。他方において、2024/11/19
読書家さん#FL2llz
1
かなり面白かった。 人は閉塞的な現実からの解放を目的にメタバースを利用する。 男女問わずメタバースを利用している人の8割が女性アバターを利用しているようだ。 これは女性の方が自分の意見を述べやすく、感情を表に出しやすいという現実世界のジェンダーを反映している。もっというと現実の女性ではなく、アニメキャラなどの女性をイメージされるようだ。 メタバース上ではコミュニティができ得ないという話も面白い。多面的に物事を見れることがコミュニティの条件であり、簡単に「チェンジ」ができるメタバース上では成り立ち得ない2024/11/23
夏みかん
1
メタバースやVRって思ってたほど全然身近にならない!って感じなんだけど、それをテーマにあれこれ考えたことが綴られたこの本は面白かった。この方の著書では以前読んだスマートな悪も分かり易くて面白かったので、中高生にとてもおすすめ。2025/03/10
蕎麦
1
リアリティ、アイデンティティ、共同体、歴史などをキーワードに、メタバースとは何かを探索している。同時に、私達はどうやって世界を認識しているのかという根源的な主題に迫っている。 現実世界、物理世界とは別に存在する新しい場所としての「メタバース」に対する態度は、個人によって大きく違いがあるのが現状だと思う。SNSで出会った彼氏とのLINEコミュニケーションに夢中になっている女子高生にとっては、メタバースなど関心外だろう。2024/11/13
小便小僧
0
率直に、物理空間を生きる「私」とメタバースにおける交換可能な「私」を当価値のものとして扱えるのかどうか。仮想空間やそこに存在するものは、あくまで物理的現実を参照した上で成立するものである。したがってメタバースにおけるあれこれは物理的現実のミメーシスでしかありえない。とすれば(本論でもペルソナの概念が引用されるように)多様な「私」を生きる〈私〉を想定せざるをえないのではないか。この〈私〉の不確実性は本書でも言及されているが、メタバースというもの自体が不確実な〈私〉を不可避的に抱え込むものであるように思う。2025/04/09
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