ちくま学芸文庫<br> 社会学への招待

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ちくま学芸文庫
社会学への招待

  • ISBN:9784480098030

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内容説明

社会学は、社会を研究対象とする学問だ。だが、そこで言われる「社会」とは、私たちの「日常」とイコールではない。それどころか、ときに日常は、より本質的な社会問題や社会構造を隠蔽し、見えにくくしてしまう。逆に言えば、社会の根本問題は一見「当たり前」に思える物事にこそひそんでいるのであり、それをあえて疑い、執拗に探究することが重要となる。社会学とは、そうした探究を通じて社会の成り立ちを明らかにし、その構成単位である人間主体のありようをも解明しようとする試みにほかならない―。世界中で長年使われてきた、アメリカ社会学の泰斗による大定番の入門書!

目次

序/第一章 個人的娯楽としての社会学/第二章 意識の一形態としての社会学/第三章 補論──態度変更と生活史/第四章 社会の中の人間/第五章 人間の中の社会/第六章 ドラマとしての社会/第七章 社会学的マキアヴェリズムと倫理/第八章 ヒューマニスティックな学問としての社会学/訳注/文献解題/訳者あとがき/文庫版訳者あとがき/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

36
1963年初出。社会学はそのはじめから、自己を科学として了解してきた(029頁)。社会学者とは、特定の学問的規律にしたがって社会を理解しようとする者のことである。この規律の本質は科学的なものである(035頁)。社会学者の考えによれば「社会」とは人間関係の大規模な複合体を示す用語である。相互行為の体系を指す用語である(049-050頁)。デュルケムは社会とはそれ独自の現実であると強調した。社会とは一つの現実である(070頁)。 誠実さとは、自己自身の行為によって欺かれた人間の意識のことである(179頁)。 2017/11/17

Ex libris 毒餃子

8
宗教学的要素が他の社会学入門書よりも強いように感じました。2018/12/04

Narr

7
「人が社会をつくるのか、社会が人をつくるのか?」、答えはそのどちらも正しい。少しだけ難しめの社会学入門書。社会学がどのような学問で何をどこまで射程に収めるか、そしてその目的と魅力についても触れています。「社会学の魅力は、今までの人生を通じて生き続けてきた世界を、社会学の視角によって新しい光の下で見直すことを可能にしてくれることにある。」42頁、つまり、価値観の脱自明視を図る上で社会学は有用であるし、発展して問題提起や社会の再構築のきっかけにもなりうる学問ということだと捉えました。2020/03/19

うえ

5
社会学の良書でありもはや古典か。「生物学者や形質人類学者であれば、南部白人の人種的信仰を一瞥しただけで、これらの信仰はまったく間違っていると明言するだろう…人間の無知と悪意とが生み出したもう一つの神話にすぎないと片付け、荷物をまとめて家に帰ることだろう。しかし社会学者の仕事はここから始まる。…多くの社会状況は、無知な者たちの定義によって効果的にコントロールされている。実際に、状況を定義する無知は、社会学的分析の素材の一部なのである。…統制の根底にある観念を暴露するだけでは、この事実を変えることはできない」2023/04/02

Nさん

5
皮肉の効いた社会学入門書。社会学のコア(核)はあくまで「理解」にあり、「実践」ではない。そこには博愛道徳主義も社会改良的な役立ちも必要ない。「悪意と人間嫌いから研究がはじまることもある」とも。ましてや下品でゴシップ的、プライバシー侵犯欲求さえ社会学者にとって必要な素養である。ただしその人間の営みへの貪欲な関心は、社会学的理論(規律に則った)意味の発見を目指す必要がある。見知らぬものではなく、見慣れたものの意味が変容するときの興奮を味わいたい人は是非、社会学の門戸を叩こう。決して平易ではないが痛快な一冊だ。2020/05/16

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