内容説明
SNS上のカリスマアカウント〈スメラミシング〉を崇拝する覚醒者たちの白昼のオフ会。参加した陰謀論ソムリエ〈タキムラ〉の願いとは──? 壊れゆく世界の未来を問う、黙示録的作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
270
小川 哲、5作目です。本書は、宗教系連作短編集でした。 オススメは、『密林の殯』&表題作『スメラミシング』です。 https://web.kawade.co.jp/information/96797/2024/11/16
旅するランナー
216
人類は三つの「キゲン」に縛られている。「機嫌」「期限」「起源」である。聖書、八瀬童子、世界、ゼロ、宗教、自転停止の起源を探る6短編。かなりぶっ飛んでいるけど、知的好奇心を刺激する面白さがあります。期限を決めてしっかり読めば、機嫌良くなること間違いなし。2024/12/22
ふみあき
189
著者のSFがそろそろ読みたいと思っていたので、うれしい限り。しかし短編集(著者の本領は長編でこそ発揮される、と個人的には思っている)。しかも過去の作品と比べても突出して難解。SFって言っても、まさにスペキュレイティブ・フィクション(思弁的小説)。2024/10/18
Kanonlicht
171
信仰をテーマにした6つの短編。長い時間をかけ多くの人々が関わる宗教にあって、確かに存在するであろう発生源や転換点としての一個人の話が面白い。ある人物のSNS上の支離滅裂なつぶやきを第三者が拡大解釈することで信仰が広がっていく表題作や、神の存在を認めることが重罪となる「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」など、視点は相変わらず斬新。これでまたしばらく著者の作品が読めないのかと後半はもったいない気持ちで読んだけど、サイン会で来年は新刊がたくさん出る予定と言っていたので楽しみ。2024/10/24
stobe1904
158
【小川哲短編集】SF風の6つの短編から構成されている作品。信仰と科学がメインテーマとして扱われているが、そこに時空をまたぐ歴史もの、コロナ禍の日本を舞台にした現代ものなどバラエティに富んでいるところが特色。ミスリードが冴える『スメラミシング』が秀逸。著者らしい世紀末的な世界観の中でジャンルを軽く超えてしまうような短編集だった。『嘘と正典』に近いテイストかな?★★★★☆2025/01/13