内容説明
生物進化はいたるところで起きており、そのうち時機を得たものだけが爆発的成功を遂げる。そして車輪が何度も発明された末ようやく広まったように、人類のイノベーションにも同様の法則が! 進化生物学が解き明かす、この世界の隠れたルール。解説/吉川浩満
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
泰然
24
革新(イノベーション)は決して一握りの英才実務家の創造や特別な進化の産物ではない。しかし自然科学の歴史は優れたイノベーション自体が種の進化増殖、文化の成功発展に繋がるのではないことを証明する。本書はサイエンス(進化生物学)の知見を通したアハ!の連続。植物の化学戦、病原性微生物の薬剤耐性獲得、遺伝子、タンパク質の鎖の構造、道具を使うようになった動物の学習能力、発明家と社会の時代精神などを通して「世界の隠れた法則性」に迫る。生物学的教養と同時に戦略学的一冊。原題の「眠り姫」は生命賛歌で挑戦者への大声援である。2025/01/05
izw
9
生物と文化は、いずれもイノベーションが起こり、それが広まることで進化するが、どちらにも「眠り姫」と呼ばれる革新的な変化から急速な普及までに長い間なんの変化も起きないという現象がある。革新は1回生じるのではなく、何回も、あちこちで発生する。それが役に立つ環境に変化するまで、その革新は眠ったままでいる、というのが共通した現象だということを多数の実例を挙げて、論証している。進化生物学者らしい鋭く深い考察だ。数の概念、関係性の把握が、元々あったニューロン回路で実現されるという指摘も興味深い。2025/05/04
黒胡麻
4
生物の進化でも人類の文化でもイノベーションはありふれている。たまたま時代の条件とマッチしたものだけが成功し、多くのものが時代に見いだされるまで長い時を眠って過ごす。話題は草の進化から遺伝子、数的思考、類推、ペースメーカー、壊血病、フェルメールまで広範囲におよび飽きさせない。成功できるかどうかは世界次第なので自分ではどうしようもない、過程を楽しめという個人への助言まであるお得な一冊。2024/11/16
Go Extreme
3
水に書かれし名: 自然の分子創造→人類のテクノロジーまで40億年のイノベーション史 イノベーション+受け入れる環境→はじめて成功 自然: インスタント・イノベーション 長い導火線 分子の高速道路 好ましい振動 遺伝子の誕生 文化: カラスと水差し 数を数えるニューロン 隠れた関係 車輪の再発明 眠り姫ー多くの生命形態が爆発的な成功を収める前にきわめて長い休眠状態 イノベーションに対する見方の転換ー草の進化・成功 自然界におけるイノベーションと人間の文化・技術におけるイノベーションを一貫した視点から考察2024/10/06
Ryo Sogawa
2
生物の世界のイノベーション、文化的イノベーション双方に共通した発生メカニズムに対する考察。司馬遼太郎の歴史的人物に対する見方とも、外的要因を重視するという点で通じるように思った。2025/01/13
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