内容説明
「この一冊に一気に引き込まれ時を忘れた・・・まさに渾身作」 俳優・武道家 藤岡弘、
泰平の世を迎えた江戸初期――戦国の動乱を生き抜いた宮本武蔵も老境に達していた。将軍家剣術指南役の柳生宗矩に嫉妬し、生半可な仕官の道を選ばなかった武蔵も、島原の乱で負傷したことで老いを自覚し終の棲家を求める。やがて熊本藩主・細川忠利に迎えられた武蔵は、自らが究めてきた兵法の極意を伝えるべく、岩戸霊巌洞に籠もり『五輪書』の執筆を始めた。最後に到った境地とは? 知られざる宮本武蔵像を描いた決定版!
感想・レビュー
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旗本多忙
15
武蔵と言えば幼年から青年期を書いた吉川英治の「宮本武蔵」が一般的だろう。壮年から晩年の武蔵像は小山勝清の「それからの武蔵」だが、知る人は少ないだろう。佐々木小次郎との戦いまでの作品が多いが、強いこと勝つことを第一義とした狷介孤高の冒険期より、熊本で晩年を過ごし完成した人間武蔵の生き方が僕は好きだ。柳生の剣と比較対照されるが、忠利公に仕え、万里一空の境涯を極めた武蔵は、岩戸観音の霊巌洞で集大成ともいえる「五輪の書」を書いた 「さらば武蔵」は1冊の仕上がりだが非常に良い作品だ。為政者は爪のアカでも飲むべし。2024/10/31