内容説明
「裏金」がばらまかれ、言論を封圧し、縁故主義による仲間内資本主義(クローニーキャピタリズム)がはびこる日本社会。民主主義を破壊し、国際競争力を低下させ、経済の衰退を招いた「2015年体制」とは。負のらせん状階段を下り続ける、この国の悪弊を断つ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
53
縁故主義による仲間内資本主義(クローニーキャピタリズム)は、衰退するほど、地域の政治支配は強化されていく(5頁)。裏金は民主主義国家を深い所で蝕む(21頁)。三代目が身上を潰す、では、5つの世襲政治家と世襲経営者の特徴が書かれている(45頁~)。①過去の栄光にしがみつき、変化についていけなくなっている。②這いつくばって努力した経験がない。③家柄や縁故で私的な基準のため、私的な人間関係。④内部事情を優先し、ニーズを無視し不良品強要、潰れる前兆に。⑤会社を私物化。2025/05/04
どら猫さとっち
13
昨年末頃から発覚した、自民党(に限らずと思うけど)議員による裏金問題。何故そんなことが起きたか。そして、自民党政権が何故日本を蝕むことになったか。それは「2015年体制」にあった。裏金あるいは世襲議員は、ディストピア国家である。そこから脱する方法が、本書にある。読み始めた頃、立憲民主党に続き自民党も新総裁が決まった。これでいいかわからないが、本書の提言を受け止め、現実に向けて実行することが必要ではないだろうか。2024/09/29
ろべると
12
これまで多数の国民は、自民党こそが日本の舵取りを委ねられる唯一の存在だと信じてきた。経済成長を牽引してきた実績は誇るべきである。そこに驕りが生じ、イデオロギーの行き過ぎが専横を招き、裏で好き勝手を行う温床となった。経済の停滞に国民の不満が次第に高まり、裏金問題として噴出したのだ。本書は自民党政治を断罪し、政権交代を説く。しかし自民党の政治は功罪相半ばであり、今の野党に政権担当能力があるとは思えない。閉塞感が増す一方の日本の将来を委ねられる救世主などいない中で、この国難を切り開く道を考える参考にはなるかな。2024/12/25
templecity
11
金子勝の著。安倍晋三の政治を徹底批判する。二世、三世議員の弊害。原発の否定。防衛力強化など。その背後に裏金があると指摘する。マスメディアにも圧力をかけ、国谷裕子、古舘伊知郎、岸井成格などが番組を下ろされたという。反対一辺倒の内容で、テレビでの論調と変わらないと感じた。 2025/05/06
小鳥遊 和
10
金子が洞察(妄想?)した「ディープステート」並みの政治・経済・社会権力を活写。無能な世襲議員が2015年に「静かなクーデター」で集団的自衛権を閣議決定、裏金でつなぐ地域政治支配、経団連の献金を受け斜陽の重化学工業を税金で救済し円安で輸出を支える政策、官僚とメディアへの介入、裁判を支配したが検察支配に頓挫し裏金他の事案が流出。プーチンとオリガルヒの体制にも似る。防衛費は赤字国債をローンダリングして作った決済剰余金=裏金で支出。金子が示すイノベーティブ福祉国家への八策は良いが、相手を巨大に描きすぎていないか。2025/03/10