内容説明
伝統的アラブ社会の生活や文化に多大な影響与えてきたラクダを、アラブ遊牧民はどう扱い、共に生きてきたのか。ラクダに関する膨大な数の言葉、伝説や文献等の資料、現地調査をもとに、ラクダとアラブ文化の実態を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
1
1986年にリブロポートから出た単行本の文庫化。 著者は、アラブ・イスラーム世界の遊牧民を対象とする文化人類学者。 ラクダに関するありとあらゆる知識が詰め込まれた一冊だ。その種類や産地、伝説、歴史上の有名なラクダ、コブの機能、成長と年齢、鳴き声、駄用・牽引用・乗用、キャラバンソング、鞍、婚資としてのラクダなど。 どの話題も非常に詳しく、読んでいて圧倒される。図も豊富で分かりやすい。 続編に『ラクダの跡-アラブ基層文化を求めて』(第三書館、2015年)があり、合わせて読むのがオススメ。 2025/08/07
tokumei17794691
1
・「ラクダの生態」「ラクダに支えられた暮らし」が半々。「暮らし」には物足りぬ部分も多い。著者が「文庫版あとがき」で目次を記した、本書の続編『ラクダの跡』を法蔵館文庫で再刊できぬか。『ラクダの跡』のほうが「暮らし」には詳しそうだが、入手困難なのが残念。・言語からも「ラクダとアラブ」を描こうとしていたのだろう。が、ラクダ関係のアラビア語の解説が多過ぎる。もう少し少なければ他の部分の理解に労力を使えた。・アラビア半島およびその周辺部の地図を付けてほしかった。・アラブはラクダあっての地域との印象。2024/11/27