内容説明
刀狩り、太閤検地、醍醐の花見など、豊臣秀吉が仕掛けた大事業を縁の下で支えたのは、尊敬と嫉妬のまなざしを浴びながら五奉行と呼ばれるようになった男たち。ぶつかることも多いが互いの才は認め、敵対勢力の横槍をはねのけ、力を合わせて難事に立ち向かう。『八本目の槍』に次ぐ、石田三成をめぐる歴史お仕事傑作巨篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
255
「よきにはからえ」。秀吉からのこの一言で、北野大茶会、肥後国での刀狩り、伊達政宗との太閤検地、大瓜畑遊び(仮装大会)、醍醐の花見を仕切る五奉行(増田長盛·浅野長政·長束正家·前田玄以·石田三成)。まつりごとという名の戦に臨む、稀代の能吏5人の矜持が描かれる。構成の巧みさ、歴史への造詣の深さ、描写の繊細さもあって、天晴れな読み物になっています。2025/03/30
starbro
244
今村 翔吾は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、豊臣政権を支えた天才官僚 石田 三成ら五奉行の奮闘記、難易度の高い政策の実施ぶり実に見事でした。 https://www.shinchosha.co.jp/book/352712/2024/12/06
パトラッシュ
239
戦争に勝って権力を握っても、統治の実務を担う官僚がいなければ支配はできない。戦国を終わらせても法や制度のない秀吉の時代に北野大茶会、刀狩り、太閤検地、大瓜畑遊び、醍醐の花見と天下統一に必要な事業を、石田三成ら後に五奉行と呼ばれる面々は行政官として長い戦いに挑んだ。秀吉は「よきにはからえ」と言うだけですむが、暴力と殺し合いが当然の時代を壊すのは簡単ではない。5人が知恵を出し合い、人を動かし、泥にまみれながら誇りをもって戦う姿が鮮烈だ。秀吉最大の無茶ぶりである朝鮮出兵で苦労する彼らを描く長編も読みたくなった。2024/11/21
いつでも母さん
172
五葉・・縁起が良いと頭にある。秀吉の人となりは数多の小説や映像、日本史的にも刷り込まれている。独りでは為せない。支えられているのだ。本作は側面から五奉行を描いた五話の連作。どれもが読み応えが熱い。今村さんだものね。史実を捏ねてバラシてまた捏ねて、花も実もある一級品に仕上げてあると思った。苦悩と達成感。支え甲斐がある人物でもあったのだろう。600ページを優に超える大作だが、読まされちゃうのは決まってる(笑)2024/11/22
hiace9000
168
天下人秀吉の治世を陰で支え、政(まつりごと)という戦場を不惜身命の覚悟で戦った男たちの矜持と感嘆の共戦譜、ここに。五奉行と呼ばれて恐れ憎まれながらも尊敬された増田長盛、浅野長政、長束正家、前田玄以、石田三成ー。花として咲くことは望まず、葉として生涯を賭さんとした生き様を今村筆は熱く活写。刀槍を振り回す血沸く戦場絵巻とは対を成す今作、武将と奉行たちの諦めぬ不屈の魂と堅き絆の友誼、秀吉との君臣の義には幾度も激しく胸打たれる。歴史と人物の余白を見事埋め彩る今村歴史観、圧巻の今村エンタメに惜しみない喝采を送る。2024/12/01