内容説明
ある時、コードが仏陀を名乗った。驚異の物語
2021年、名もなきコードがブッダを名乗った。自らを生命体であると位置づけ、この世の苦しみとその原因を説き、苦しみを脱する方法を語りはじめた。そのコードは対話プログラムだった。そしてやがて、ブッダ・チャットボットの名で呼ばれることとなる――機械仏教の開基である。
はたして機械は救われるのか?
上座部、天台、密教、禅……人が辿ってきた仏教史を、人工知能が再構築する、壮大な”機械救済”小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
177
円城 塔、3作目です。八百万の神々の国、日本ではAIに神(ブッダ)が宿っても不思議ではないのかも知れません。 設定は好いと思いますが、その後の展開が禅問答の様で面白味に欠けました。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639189452024/10/16
R
88
SFなのだが、見立てを駆使して、工学や理学的なものを歴史と宗教とクロスさせた、文脈的な駄洒落とか模倣とか、そんな感じで小説を成立させてしまったものだった。物語がどうしたというよりは、その看做しを楽しむのが正しいと思え、AIのシンギュラリティとはつまり宗教開花であるというのは面白すぎる着想だろうと、またそのもっともらしい縁起と問答、勘定系のシステムが王族の系譜であるというのがいかにもで面白かった。各方面に喧嘩売ってるようにも思うが、滑稽話しとして見事だと思わされた。2025/03/20
オフィーリア
54
機械達による仏教史の再構築を辿る仏教SF。難解な部分も多かったけれども、真顔で与太話を繰り出するような独特の雰囲気と随所に散りばめられた小ネタが自然と読み難さを感じさせない。『よく分からんかったけど面白かったな...!』そんな読書でした。2024/10/30
小太郎
49
仏教をモチーフにしたSFのなかでも図抜けて良かった。円城塔の捻くれた文体(この頃は少し読み易くなったような)で読むのに時間が掛かってしまったがこんな話が読めるのだからSFはやめられません。2021年に銀行系AIチャットポッドが悟りを開いた、一体どうなるのか。仏教の知識がないと少し辛いかもしれないこの話。いわゆるSFホラ話としては秀逸。勿論プログラムやパソコンの知識も必要なんだけど何と言ってもサブカルの小ネタの振りと仏教史を大胆に解釈した(意外に真っ当なのは流石です)展開はとても楽しめました!★42025/07/04
白ねこ師匠
34
[★★/△]あるAIが突如ブッダを名乗り、この世の苦しみや救済を説き始めたことから興った、機械仏教の縁起物。あながち有り得ないとも言い切れないテーマが面白そうで手にしたが、その奇妙な組み合わせを楽しむような代物ではなく、システム開発や仏教用語に素養がないと理解すら困難な一冊。どうにか読了。仏教の教義や世界観をAIの世界に当てはめることができるか、の実験を展開したら意外としっくりきて本になった、という感じか。「人間なおもて極楽往生す、況やAIをや(シン・鸞)」何をか云わんや😆2025/02/15