内容説明
匂い立つ情感、大人の恋愛小説の極北。
諏訪湖の花火大会の日、光岡は駅に降り立った。漆工の涼子とのつきあいは十年以上になる。二人の生が交差したきっかけは、漆器だった。シンプルで控えめな佇まいと、官能的とも思える光沢に魅かれ、光岡は盛器を購入。伝統工芸展の入賞作品であった。
そして、精神の疲れをいやす旅で、塩尻・奈良井に赴き、光岡は漆器店で作者の涼子と出会う。若い涼子の漆器創作に刺激を受け、彼は、かつて文学賞を受賞したものの、挫折していた小説執筆を再開した。
以来、二人は造形や執筆の傍ら、時に二人で憩いつつ、深い想いを育んできた。
やがて、涼子は漆芸作家として、パリで開催される漆器二人展に招聘される。もう一人は、沈金や蒔絵の輪島塗りの男性作家だという。成功したパリの二人展を契機に、光岡は人生の秋期を意識するが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
168
乙川 優三郎は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、著者の理想を描いたような昭和の恋愛小説でした。 いきなりポルシェをプレゼントするとは、大谷か❓(笑) 立秋と言うよりも、晩秋のような気もします。 https://www.shogakukan.co.jp/books/093867282024/11/14
kei302
42
9月に読み始めたのに、いつの間にやら来週から師走! 小説家の男と芸術家で職人でもある女性。年の離れた二人の関係は乙川作品ではお馴染みです。時代設定、江戸時代でもよかったのでは? と言うか、時代小説にしてほしかった。ポルシェ、江戸時代なら・・何だろ、思いつかないけど。2024/11/29
ジュール
19
乙川さんの最新作。 現代物でも職人の丹精を込めた仕事が硬質で静かな文体で綴られていくのが読んでいてとても心地よい。 祖父の代からの資産を継いで生活には困らない、あまり売れない作家の光岡。塩尻の漆器職人の涼子と男女の関係に。東京の光岡が奈良井の定宿で涼子と逢瀬を重ねていく大切なひと時。 そんな中でも涼子が職人として飛躍の時を迎え、ベルギーへ旅立つ。 再開できるかわからない2人。 でも穏やかな時間が読んでいて心が休まる。 2025/02/11
さく
19
妻子ある裕福な男性が、漆工の独身女性と不倫している話なのに、乙川さんの文章が綺麗で、不倫をしている感じがしない。気まぐれなパトロン、といった感じ。2024/10/25
けえこ
17
もう若くはない男性作家と女性漆器工芸家とのゆったりとした恋愛の物語。何度も眠りそうになりながら読了。2024/12/09
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