内容説明
獄門家の娘とあれば、屍山血河を行く定め。
獄門家に生まれることは、血と炎の渦中に呑まれることと同義。
まして花の名を冠する女とあれば、屍山血河を行くが必定――。
春待つ京都。いつものように怪異を追う撫子とアマナだったが、そこには奇妙な共通点があった。鬼、鬼、鬼。様々な鬼が、それぞれは無関係であるはずの事件に顔を出す。
その裏で糸を引いていたのは……
「会いたかったですよぉ、従妹ちゃん」
もう一人の獄門の娘ーー芍奈。そしてその母である牡丹だった。
苛烈にして繊細。横暴なのに相棒想い。
自らと似ているようで違う芍奈への態度を、撫子は決め切れない。
それでも。世代を越えて連綿とつながる獄門家の因縁は、二人を否応なしに対決へと導いていく。
「おまえさえいなけりゃ、こんなことにはならなかったッ!」
「……ここで、終わらせましょう」
同じように獄門家に生まれ、異なる花の名を冠した二人。
屍山血河へ引き込まれてしまった撫子と芍奈の、戦いの決着は。
化物とヒトとのあわいに揺らぐ、うつくしくもおそろしい少女鬼譚、鏡写しの第三巻。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
28
春待つ京都で次々と「鬼」に関わる怪異と出会う撫子とアマナ。全ての裏で糸を引くもう一人の獄門の娘・芍奈、その母・獄門牡丹と激突する第3弾。同じように獄門家に生まれ、異なる花の名を冠した2人。撫子と芍奈を否応なしに対決へと導いていく世代を越えて連綿と繋がる獄門家の因縁。そこに新たに登場した2人の母親や、不真面目そうな対応とは裏腹に、芍奈を想う気持ちが垣間見える彼女の相棒・菊理塚みまかの主従関係もなかなか印象的でしたけど、いろいろ甘いシーンを積み重ねていきながら、共に戦う撫子とアマナの絆がなかなか良かったです。2024/09/17
日坂愛衣
12
どうやら伏見七尾先生はこの本の読みやすさを改善する気がないようですね。今回もたくさんの新キャラ(ほとんどがモブ)が登場し、ストーリーやバトルも前巻と同じように堅実な展開ですが、彼がさまざまな女性の感情を描くのが上手いことは確かです。主人公の二人がますます甘くなっているやり取りはさておき(特に誕生日プレゼントを渡すシーンの告白や二条城で夜桜を一緒に眺めるシーンはとてもエモい)、敵側の主従関係もとても良かったです。あるキャラは出番が少ないにもかかわらず非常に印象に残りました。2024/09/18
イシカミハサミ
11
シリーズが始まってからずっと いろいろありそうな美丈夫、 桐比等のエピソードも少しずつ出るようになってきた。 天狗たちが狂言回しとしていい味を出してきていて、 読んでいて成田良吾的なバッカーノを思い出した。 明確な主人公がいる作品だし、 シリーズがどう展開するかはまだ読めない部分が多いけれど、 バカ騒ぎはどんどんやってほしい。 ところで今回の2話って必要だったのかな。2024/11/01
微塵子大魔王
7
獄門家の2人の激突。鬼にゆかりのある家が集まりはじまる戦い。前巻とは異なり撫子の家系にまつわる話で、バトルは抑えめでしたがその分、撫子の魅力が引き立っていたように感じました。芍奈は性格悪いし好きになる要素がないんですが、芍奈をこうしてしまった親の方に嫌悪感を抱きました。劣等感を子供に押し付け、何かあったら他人のせいにする大きな子供みたいでした。みまかと芍奈の関係を壊すのは悪手でしたね。敵の実力を見誤ってるし、成長に繋がらない。仕方がないって逃げ道もない悪者でした。2024/09/29
水無月冬弥
6
獄門家の身内争いがはじまりましたね。その中でも撫子は優しいですね。まさか、芍奈に情けをかけるとは。とりあえず、事件は解決したのですが、問題は目白押しですね。まあ、それはともかく、もっと撫子とアマナのゆりゆりがみたいですねえ~ 2025/06/03