内容説明
9人のジャーナリストたちの様々な眼が、日本の精神科医療・認知症の闇や構造に挑んだ1冊。
1部では、6人のジャーナリストそれぞれが取材してきた精神科病院・認知症の闇について、入院患者の人権や病院の闇の構造に深く切り込む。2部では、40年間入院し、現在地域で生活をする当事者の伊藤時男さんを交えた鼎談、精神病院から地域移行への実態、課題を伝えます。ジャーナリストたちの様々な眼が、日本の精神科医療に挑みます。
【著者】
大熊由紀子
東京大学教養学科で、科学史・科学哲学を専攻。朝日新聞社会部記者、科学部記者・科学部次長・論説委員をへて、大阪大学大学院人間科学研究科ボランティア人間科学講座教授。仏教大学、日本福祉大学客員教授,東京大学医学部、東京医科歯科大学非常勤講師などを歴任。
目次
はじめに 虫の目・鳥の目、歴史の目、そして……
第1部 精神病院・認知症の「闇」に斬り込む
1章 「本人以外は幸せ」というシステム
1 日本に残ったブラックボックス
2 患者たちを見くびるな
・クロストークA
2章 経営が一番、患者の人生は二番
3 八期十六年「ドン」が描く入院者の幸せ
4 経済記者は黙らない
5 ゲリラ取材でしか見えない世界
・クロストークB
第2部 精神病院のある国、ない国
3章 【鼎談】原発事故があって助かった ~時男さん六十歳の青春~
4章 トリエステ精神保健改革から学ぶこと
あとがき 想像力と度胸に裏打ちされてこそ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
60
かなりショッキングな内容もあった。 人権について考えさせられた。 大きな改革をするには、医師と政治家、ジャーナリストの三本柱が必要。 逆に考えると今の日本は利権にぶら下がる医師、政治家(行政)、偏った報道によって権利が侵害されている現状があるのかな。2025/03/27
kitten
9
図書館本。認知症が気になって借りたけど、メインは精神病院の方だった。これは、怖い話。欧米が精神病床を削減しているなか、日本だけが増やしている。治療らしい治療はなく、いわゆる社会的入院。閉じ込めておくだけ。当事者の伊藤さんの話が怖かった。40年入院していたけど、本当に治療が必要だったのは数週間程度だろう、と。見たくないものに蓋をする感覚なんだろうなぁ。世間からの偏見もひどいし、悲惨な事件もあった。みんな、自分とは関係ないと思いたいから改善しようという話も出てこない。問題意識だけはもっておきたい。2024/11/03
Mint214
4
精神病院に40年間も入院していた男性の鼎談にはショックを受けた。入院が長くなると施設症という症状が現れる。思考停止状態、無気力。人としての尊厳もうばわれ、もののような扱いに置かれていく。そして一生退院できない。これほどの人権侵害が野放しされている日本。身体拘束禁止も精神科はないという。ノーマライゼーションの生みの親、バンクミケルセンの言葉「自分自身がそのような状態におかれたとき、どう感じ、何をしたいか」という視座は持ち続けなければならない。2024/10/01




