集英社文庫<br> ほんとうの自分

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集英社文庫
ほんとうの自分

  • ISBN:9784087607925

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内容説明

ある山のホテルで知り合った中年男女。その直後女は離婚を決意し、その男と暮らすようになる。平穏な同棲生活を送っていたが、ある日女のもとに一通の匿名の手紙が届いた。「私はスパイのようにあなたの後をつけています、あなたは美しい、とっても美しい」とだけあった。最初は不愉快さをつのらせていたが、女の心は好奇心に変わり微妙に揺れ動き、それを機にふたりの愛の糸は絡まり、幻想が現実を脅かしていく。愛し合うふたりの心のバランスの危うさを名手クンデラが描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

旅するランナー

171
存在の耐えられない曖昧さ。女シャンタルと男ジャン=マルクそれぞれの視点が相互に描かれる幻想恋愛小説。君は誰か別人なのか、本当の自分とは何者なのか。老い、嫉妬、現実と非現実、実在と夢想の混在promiscuité。クンデラらしいシニカルさの先に、得も言われぬ美しく過酷な愛が待っている。2025/08/08

こうすけ

22
わりと短いし、そんなに込み入った話ではないので、手軽く読める。手練れによる小品、といった感じ。2025/01/14

ふみふみ

19
表題から察せられるとおりモラトリアムちっくなカップルの物語で、プロットはシンプルなんですが、例によって著者特有の衒学臭、哲学崩れの心理描写など一体何を読まされてるんだ感も強いです。そして、このままではグダグダで平凡な物語で終わってしまうと危惧したからなのか、これまた著者の十八番のメタフィクションが発動、今度は幻想方向へとジャンプするのですが、ぐぬぬな印象が拭えませんね。2024/07/29

rou

8
登場人物の視点がかわるがわる描かれるポリフォニックなクンデラの小説。シチュエーションコメディのような活劇が終盤描かれる。作者と登場人物にはかなりの距離があるため、自分の人生に多弁な人間たちがいつも可笑しく感じられる。当然悲しくもある。女性の老いが男性目線から描かれているには違いない。距離感はかなり感じられた。性に貪欲なシャルタンにはウェルベックを読むときのような居た堪れなさを感じてしまい、読むのを何度も中断。ただ、老いに直面する恋人を判断できなくなる程戸惑いながらも愛を貫こうとするジャンにはまあ、脱帽。2025/09/14

mada

2
ステキな小説だ2024/09/04

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