内容説明
古代ローマには、人はいかに考え、ふるまうべきかを示す規範が存在した。
この「父祖の遺風」に沿って我が子を教育することは、ローマの人々、とりわけ貴族階層の父親にとって何より重要だった。
古代史家である著者は、父祖の遺風を重んじたローマ人にならい、歴史をひもといて古今東西の事例を渉猟。
古代エジプトのファラオから戦後日本の国民的スターまで、現代の日本人が知っておきたい五一人の生涯と事績を紹介する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
53
産経新聞に51回にわたって連載されたものをまとめたようです。あんまり有名ではない人物が結構掲載されているような気がしました。最初にツタンカーメン王の父が、曹操や日本人では西行、保科正之、最後には石原裕次郎(石原慎太郎でなくて良かった)が紹介されています。マイルス・デイビスもあってかなりマニアックな感じがしました。2015/04/13
あきあかね
21
副題にある通り、勇気、寛容、先見性などの切り口から、古今東西の偉人たち51人の生き方が示されている。 政治と社会はあくまで公正であるべきと考え、独占企業を規制して労働者や農民を保護し、国際連盟の提唱も行った、「強靭な精神をもつ行動の人」ウィルソン米大統領。アヘン戦争で敗れはしたものの、広く世界に目を開き、清廉で有能な官僚だった林則徐。為政者が多く取り上げられる中、トリに石原裕次郎が据えられていたことに驚いたが、精魂込めて作り上げた模型飛行機が悠々と滑空する中、ひとりその後を追わなかったという、⇒2022/06/07
たくのみ
16
「詩人なんぞになりたくない」と言い返す、ハドリアヌス帝。女性の市民憲章を作ったのに断頭台の露と消えたオランプドグージュ。命名権の賭けにはかったが、肝心のレースで負けたダービー卿。非難にもめげず、パリの街の近代的をすすめたオスマン。あまり知らない賢人たちの仕事を知ることが出来ました。2016/07/26
Takayuki Oohashi
13
「叡智」という言葉がタイトルについていて、どんな深遠な本なのだろうと思ったのですが、実に砕けた本でした。AKB48の前田敦子の卒業のことに触れていて、この本村さんはご自身の東大退官と重ね合わせたそうです。そういう俗人的な話が各偉人のエピソードにちょくちょく付けたしのように書いてあって、何じゃこりゃという気持ちで読んでいました。最後の「石原裕次郎」の回など、本村さんの個人的な体験だけで書いていて、それはそれで面白いのですが、こりゃ偉人の紹介じゃないな、と思いました。学術書と思って読むと裏切られると思います。2016/07/08
ふね
11
世界史上の人物たちの簡単な人物評が並んだ本。ひとりひとりについての情報が浅かったし、筆者の人物評も無理やり時事問題と結びつけようとしたものが多かった。世界史のおさらいを考えていた自分にとっては少し物足りなかった。2015/03/10