内容説明
「――いやああああッ!? ウォルカ、し、死んじゃだめえええええッ!!」
日本から転生した冒険者ウォルカ。ダンジョン探索中に突如強大な魔物に襲われた彼は、仲間を庇って瀕死の傷を負ってしまう。その瞬間ようやく気づいた――ここが前世で読んだダークファンタジー漫画の世界で、自分が仲間もろとも全滅するモブキャラだったのだと。
バッドエンドを強く嫌うウォルカは、仲間のために死に物狂いで戦い奇跡的に魔物を撃破。片目片足を失いこそしたものの、パーティ全滅の運命を覆せたことに安堵していた。ところが、仲間の少女たちの様子がなんだかおかしくなってしまって――
「今度こそ絶対に守るからっ!! だからお願い、見捨てないでぇ……!!」
「わたし、ずーっと傍にいますから。――いいですよね、せんぱい?」
「キミのために死のうって……そう決めたの」
ハッピーエンド至上主義な転生者と、彼に激重感情を抱く少女たちの【曇らせ】異世界譚!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Liuche
40
とてもよい曇らせ。病んでしまったヒロイン達の据わった覚悟。主人公を評価してるが故の絶望。とても良い。2024/10/17
まっさん
29
★★★★ 日本から転生し、冒険者として類まれなる才能を発揮しながらダンジョンを攻略するウォルカは、ある日絶体絶命の窮地に陥ってしまう。そんな瞬間に脳裏に過ぎるのは自身が前世で読んだダークファンタジー漫画の展開。彼らは序盤も序盤で全滅するモブキャラパーティの一員であった。このままでは自身はおろか共に研鑽を積んできた少女たちが尊厳を奪われて死んでいく。バッドエンドにはさせない、そんな強い気持ちで片目と片足を代償に何とか生還を果たしたウォルカ達一行。しかし、彼の気持ちとは裏腹に周りの少女達は彼に激重感情を抱→2024/09/09
よっち
29
強大な魔物相手に瀕死の傷を負いながら、奇跡的に撃破してみせた冒険者ウォルカ。パーティー全滅の運命は覆したものの仲間たちが病んでしまうファンタジー。土壇場で転生者の記憶と知識を取り戻し、全滅バットエンドを回避したものの片目と左足を失ってしまい、師匠の魔術師リゼル、弟子の天才剣士ユリティア、女戦士アトリ、そして聖女候補アンゼたちがそれぞれの理由で負い目を感じて迷走しまう展開で、ウォルカへの想いを掘り下げながら、けれど剣に生きるしかないウォルカの姿を見て、それを応援するしかない仲間たちとのこれからが楽しみです。2024/08/31
しまふくろう
27
表紙が可愛くて購入。挿絵も良い。 物語は漫画の世界に転生した事を思い出した主人公が命がけで悲劇を回避したら仲間達の様子がおかしくなった話。思いつめ過ぎた仲間達の感情がなかなか怖くて面白い。漫画を読んでいたから酷い結末を知っていた主人公と、そんな事は知る由もない仲間達との受け止め方の差もちょっと笑える。この巻は設定や人物紹介などの序章っぽい感じで、次から本編が始まる感じになるんだろうか。続きが楽しみ。2024/08/30
わたー
24
★★★★★物語としては文句なしに面白い。それだけに、中途半端なところでブツ切りされているこの巻の構成はちょっとどうかと思う。ダンジョンの最奥で全滅しかけるも、主人公の活躍によって辛くも生き残った一行。だが、その代償は主人公の左足と右目だった。剣士としては致命的な大怪我を負わせたことにより、これまでの関わりで敷設されていた地雷が盛大に炸裂して、メンバー3人ともが三者三様に病んでしまうことから始まる物語。これは病むのも仕方ない。過去回想の形で、主人公とヒロインたちとがどのような関係を築いてきたかを懇切丁寧に2024/09/05