内容説明
LGBTQという言葉は世間に広まったけれど、日本のスポーツ界は相変わらずマッチョで、根性を見せて戦うことが「男らしい」とされる。そんな「体育会」で、性的マイノリティは自分の「性」を隠して辛抱・我慢している? 陸上部監督との「かなわぬ恋」に泣いたゲイの男子スプリンター、剣道部の道場で「女らしさ」から逃避できたレズビアン、女子プロレスラーに完敗した元球児のトランスジェンダー……。アスリートの実体験から「男らしさ」の呪いが解けない日本の姿が見えてくる。
目次
第1話 「かなわぬ恋」を駆け抜けて
第2話 ワン・フォー・オールの鎖
第3話 氷上を舞う「美しき男」の芸術
第4話 闘争心で「見世物」を超える
第5話 「女らしさ」からの逃避道場
第6話 あいまいな「メンズ」の選択
第7話 「大切な仲間」についたウソ
第8話 自覚しても「告白」できない
第9話 強くて、かわいい女になりたい
〈対談〉田澤健一郎×岡田桂 LGBTQとスポーツの未来を探して
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nonpono
31
興味深い、テーマに真摯な本でした。わたし、女子中学、高校出身で、トイレに2人で入る女子とか先輩に憧れて手紙書いたり、先輩からジャージもらう女子を見てきました。こう多様性が認められる時代になると、わたし自身も?になってきます。異性と恋愛経験はありますがもう四十路を越えると、旅や趣味のプロレス観戦などは女友達と行く方が、例えば彼氏より楽かもしれないと思います。だからといって、女の子に恋をすることはない。あくまでも、友達という距離感が好きなんですね。多様に区別されていく性ですが、グレーゾーンはある気がしました。2024/09/28
katoyann
20
スポーツライターがセクシュアル・マイノリティのスポーツ経験者にインタビューを行い、その内容をまとめた本。日本の男子の体育会系の部活では、ホモソーシャルで男性中心主義的な雰囲気が色濃いため、同性に惹かれる男性が肩身の狭い思いをすることになるという。ただ、体育会系の部活で活躍する男子は、女子にモテるため、ノンケのフリをして女性と交際することができる分、なかなか自分の欲求に気づくことができないというのは、初めて知った。女子の部活では、メンズという文化があり、トランスボーイが過ごしやすいらしい。面白かった。2024/11/23
むつこ
20
世の中「多様性」というジェンダー平等が大きく取り沙汰れているので手に取る。「男のくせに」や「女らしく」という気持ちを持たないようにしているけど、この本を読んでいるとあまりにもカタカナ言葉が多くて昔の言い方のほうが理解しやすかったな。でも当人にしたら「もっとわかって!」と訴えているのだろうし、こういう声を知ることによって多様性という偏見が薄らぐのだろう。次回のオリンピックではどういう世の中になっているのかな。2024/09/24
しゅんぺい(笑)
3
スポーツってものが、もともと戦争への身体づくりとして始まったとか、どうしても男性性を宿命づけられてるものやねんなっていうのが新鮮で興味深かった。2024/10/18
skr-shower
3
世の中で一番嫌いな「男として(酔っている)自分が尊い」奴が溢れている体育会系。勘弁してもらいたい世界で、LGBTQをカミングアウトなんて恐怖しかない気がする。ジェンダーが多様であるのは事実なんだが、振り回されているだけで疲れちゃう人も多いのが事実。競技の上で性別の区分は難しいでしょうね。2024/10/14