内容説明
「買えなければ盗んでも自分のものにしたくなるような絵なら、まちがいなくいい絵である」。かつて小林秀雄が「今一番の批評」と称賛し、美術エッセイ「気まぐれ美術館」で人気を博した洲之内徹。陰惨な戦争体験を引きずり、癒すことができない飢えを抱えながら、屈託のある達観の文を書いた。振り返られることが少なくなった異才の随想を、稀代の美術評論家・椹木野衣が選りすぐったコレクション。
目次
画廊のエレベーター/海老原喜之助「ポアソニエール」/松本竣介「ニコライ堂」/中村彝と林倭衛/鳥海青児「うづら」/森田英二「京都花見小路」/四畳半のみ仏たち/山荘記/海辺の墓/続 海辺の墓/銃について/セザンヌの塗り残し/フィレンツェの石/村山槐多ノート(一)/月ヶ丘軍人墓地(一)/その日は四月六日だった/朝顔は悲しからずや/モダン・ジャズと犬/守りは固し神山隊/〈ほっかほっか弁当〉他/解説 洲之内徹 狂狷と気まぐれ 椹木野衣/底本一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
18
ちくま文庫、今月の新刊。美術評論家の洲之内徹さんのエッセイから、椹木野衣さんの手により選び抜かれたベスト選集、第一弾です。私も洲之内さんの事を知ったのは、恥ずかしながらここ5、6年位で、主に「気まぐれ美術館」の名前からです、かなりの長期(死ぬまで)にわたって『藝術新潮』に連載されて、殆どが品切れで手に入りにくく、一冊だけブックオフで見つけて読んで面白さに釘付けになりました。話があちこちに飛んで羅列に終わっても、しみじみと心に残る何かが有る、素晴らしい筆致です。夏の第二弾発売を待ちます。2024/05/27
Hotspur
1
洲之内徹の書いたものがその日本語も含めて好きで、以前函入り6冊の『絵のなかの散歩』『気まぐれ美術館』を買って読んだことがあり、そこからの抜粋の本書を買っても仕方ないと思いつつ、表紙に惹かれてまた手に取ってしまった。著者は1913年生まれの「現代画廊」の画廊主で、大宗は現代日本の画家を主題に据えた美術エッセイなのだが、語られるトピックがあちらこちらと脈絡なく飛び、章タイトルからも離れていってしまうのが著者らしい。しかし完本から省略された章への言及もあちらこちらにあり、どうせなら完本で読むことをお勧めしたい。2025/02/04
Ta283
1
美術エッセイと言うより日常エッセイ。先日、宮城県美術館コレクションで洲之内徹コレクションを見てきたばかり〔本の購入の方が先〕、この本で紹介されている作品のいくつかも実物を見たばかり2024/11/09
ひろふみ
0
かつて、といっても35年以上前だが、芸術新潮に14年間も連載していた「気まぐれ美術館」で有名。とこの本で知った。長期連載なら山本夏彦だろうに、新潮社が現役で取り扱っている本はもはやない(webの著者名検索に出てこん)。2025/01/20
mori-ful
0
美術批評でありエッセイであり小説。武田泰淳に会いに行って、本多秋五を評価しているという話で同意を得たらしい。意外。2024/09/30
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